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顔に汗を浮かべるナージャとは裏腹に、モルジアナは淡々と口を動かす。

「私たちを捕まえたのは奴 隷商人ですので、このままだと私たちは奴 隷にされてしまいます」

 ナージャは暫く黙ってしまう。そして床に座ったまま俯いて、まだ少し笑いながら声を絞り出した。

「そ、そうなんだ、奴 隷ってどんななのかな……」

「まず、奴 隷市場で裸にされます」

 ナージャの顔から表情が消える。

「次に、────────────────れます。
 そして──────────────────最後に、────────────────────────します」


 そう、このままここに捕らえられたままでは二人共奴 隷にされてしまう。早くなんとかしなければ、と思ったとき、隣から嗚咽が聞こえた。
 ナージャが顔を押さえて泣いている。嗚咽はいつしか泣き声になり、モルジアナはオロオロと狼狽する。

「やだよ、怖いよお、お父さん、お母さん……」

 あーん、あーんと繰り返される声が頭の中で反響する。
 目の前の少女は、まるで昔の自分だ。何もわからなくて、母親も父親もどこにいるかわからない。助けてという声も暗闇に飲まれる。昔の自分をナージャに重ねて、モルジアナは手を握りしめる。
 なんとか落ち着けたくて、がしっとナージャの肩をつかむ。小さな肩が跳ねた。驚いたナージャにモルジアナは手をうろうろさせて言葉を探す。

「いえ、その、大丈夫です。……やっぱりあなたは奴 隷にはなりません。
 なぜなら、私が隙を見てここから逃げます。その時、あなたとあなたのご両親も連れて行きます」

「……本当に?」

ぐ、ともう一度拳を握りしめた。

「本当です。私が絶対になんとかしますから!
 あなたを奴 隷にさせません。信じてください!」

 にこっと精一杯笑う。ナージャはうん、うん、と頷きながらモルジアナに抱きついて、また声をあげて泣いた。
 そうだ、もう二度と奴 隷になんてならない。隙を見て、この子と逃げ出すチャンスを待つのだ。




 そう言い聞かせて、五日間、とにかく耐えた。

〃→←第29夜 奴 隷



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名無しさん(プロフ) - 、さん» 失礼しました。先程外しました。3の時も指摘して頂いたのに、大変申し訳ありません。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - MIZORE@厨二の魂百までさん» ありがとうございます!しばらくは原作をなぞるだけになりますがよろしくお願いします。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編も4まできてオリジナルフラグ外し忘れはないんじゃないですか? (2018年2月17日 17時) (レス) id: 5c20bbbbb1 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください^^ (2018年2月17日 17時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:名無しさん | 作成日時:2018年2月17日 17時

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