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「アリババ兄ちゃーんっ!」
アリババとカシムが通路で言い合いをしているとき、キャッキャとした声がアリババを呼んだ。数人の子供たちはあっというまにアリババに抱きつき、嬉しそうに出迎えをする。
「にいちゃんおかえりーっ!今日も国軍をやっつけたんだろ!?」
「スッゲー、アリババ兄ちゃん!」
「兄ちゃんの連勝のおかげで、スラムのみんなは一日二回も飯を食えるようになったんだよ!アリババ兄ちゃんはスラムのヒーローだよ!」
子供の一人が笑顔でそう言うと、他の子供たちもそうだそうだ、と声をあげる。
その屈託のない笑顔に、アリババはうっ、と唸る。アリババの肩に、カシムが手を置いた。
「なあ、相棒。俺たちもこのぐらいのガキの頃、スラムの地獄を一緒に生き抜いてきたよな」
そして肩を掴まれ、訴えられる。
「スラムはこのままじゃだめなんだ。そしてお前は、この地獄から抜け出したことのある唯一の人間だ。お前にしかスラムを変えられないんだ!頼む、あの子供たちを救ってくれ!俺の妹みたいにしないでくれ!
もう、どこへも行かないでくれ、アリババ!!俺のそばで、昔みたいに一緒に戦ってくれ!!」
◇
部屋に戻って、木造のドアに寄りかかる。ドアがいつもより冷たい気がした。
溜め息をついて、軋むベッドに座る。サイドテーブルに置いてある葉巻に手を伸ばして、火をつける。
スーッ……と静かに吸った。
「オ゛エ゛ッ!!!エ゛ッハ!!」
ゴホッゴホゴホと死ぬ程咳をして、肩で息をする。今日もやっぱりダメだった。どうしても吸えない。なんて情けない。
中途半端な覚悟してるからだ、と思うとアラジンのあの笑顔が脳裏をよぎる。
────『約束したもんね!』
だめだ、思い出すなと頭を振って忘れる。一人でなんとかすると決めたのだから。
「誰だ!?」
今確かに、部屋の奥に誰かいた気がした。振り向くが、影も形もない。
……気のせいか。本当に疲れているのかもしれない。今日はとにかくもう休んで、後のことは明日また考えよう、とベッドに仰向けになった。
天井に、アイツがいた。
まるでクモかヤモリのように、天井にモルジアナが張り付いている。
ギャーッという声は左手によって塞がれ、もがこうとした体は首を右手で捕らえられた。
「静かにしてください。騒ぐと落とします」
な、なんて恐ろしいことをサラッと!?
それでもなんとか声を出そうとすると、ドスッと腹に拳が入った。
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名無しさん(プロフ) - 、さん» 失礼しました。先程外しました。3の時も指摘して頂いたのに、大変申し訳ありません。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - MIZORE@厨二の魂百までさん» ありがとうございます!しばらくは原作をなぞるだけになりますがよろしくお願いします。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - 続編も4まできてオリジナルフラグ外し忘れはないんじゃないですか? (2018年2月17日 17時) (レス) id: 5c20bbbbb1 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください^^ (2018年2月17日 17時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2018年2月17日 17時