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「近頃、厄介な奴が敵軍に加入してしまったんでし!まったく、何が『怪傑』だ!あいつが出しゃばりでもしたら僕たちは……!」
「あ、兄上、その話は」
激昂するアブマドの口を、咄嗟にサブマドが塞ぐ。アブマドも顔を青くしていかにも、しまったというリアクションをとる。そのやりとりをシンドバッドは訝しげに見る。
「なんだよ?」
「な、なんでもないでし!とにかく!『霧の団』のせいで交易再開はムリでし!外から口ばっか出さずに、再開してほしけりゃおじさんが自分でなんとかするでしなあ!」
べええ〜〜と舌を出し悪態をつく後ろで、サブマドは顔を青白くした。
だがシンドバッドは意味ありげな口調でほ〜お、と二人を睨んだ。
「”なんとか”していいんだな?」
「!?」
おもむろに護身用のナイフを抜き、勢いをつけてテーブルに刺す。ガン、と衝撃が走ってテーブルが揺れた。
「俺がその『霧の団』とやらを退治してやるよ。軍隊も使わず、俺たちだけでな!」
「ム、ムリでし!!いくらシンドバッドおじさんでも!」
◇
帰ってゆくシンドバッドたちを二人は城から見下ろす。
「ど、どうしよう?兄上」
「……まあいいでし。シンドリアとの交易再開は”どのみち不可能”だけど、『霧の団』を倒してくれるならそれはそれで儲けものでし」
◇
どーん!と効果音が付きそうな程豪華な料理たちが目の前に並べられる。
「うわあああ!」
アラジンとモルジアナはそれに飛びつき、よだれをじゅるりと垂らす。
「バルバッド名物、エウメラ鯛のバター焼きだ!エウメラ鯛はバルバッド近海にしか生息しない珍魚でね、鯛のくせに骨まで柔らかく、香草とあわせて丸ごと食べると絶品だ!!」
シンドバッドの解説をBGMに、二人は青と赤の髪を揺らしながら料理を貪っている。
「旅した土地で初めてのうまい料理に出会う……いいねぇ、冒険の醍醐味だね!
そういえば、部下の紹介がまだだったな。部下のジャーファルと、マスルールだ。モルジアナ!」
ジャーファルとマスルールを順番に指差す。
「マスルールはな、『ファナリス』なのだよ」
「!」
目を丸くするモルジアナとは裏腹に、マスルールはずっと口を結んだままだ。
「驚いたか?実は昨日、君もそうだと気付いていたよ。目元がそっくりだな、お前たちは」
「……どうも」
「どうも……」
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名無しさん(プロフ) - 、さん» 失礼しました。先程外しました。3の時も指摘して頂いたのに、大変申し訳ありません。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - MIZORE@厨二の魂百までさん» ありがとうございます!しばらくは原作をなぞるだけになりますがよろしくお願いします。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - 続編も4まできてオリジナルフラグ外し忘れはないんじゃないですか? (2018年2月17日 17時) (レス) id: 5c20bbbbb1 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも更新頑張ってください^^ (2018年2月17日 17時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2018年2月17日 17時