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長いまつ毛に縁取られた紫苑色の瞳は、宣材写真で知っていたはずなのに、驚くほどに綺麗で目が離せない。
「お前がA?」
私の名前を呼ぶ彼に目を見開く。
そうだ、セットアップで入力したじゃないか。
『えっと、うん。』
なんだか思っていたのと違う、気がする。
アンドロイドとは、かしこまった言葉遣いではなかっただろうか。
友人に見せてもらった動画でも、丁寧な言葉遣いと美しい所作のアンドロイドだったはずだ。
『随分フランクなんだなぁ、最近のアンドロイドって。』
呟く様に小さな声で言ったはずが、彼の耳に届いていた様で、訝しげに私を見る。
「お前が設定したんじゃん。」
よく裏コード分かったなぁ?と笑う彼に、頭痛がした。
間違えて入力したコードが設定完了の表示になったのは、説明書にない裏コードを入力してしまったからだった。
これだから機械音痴は、と項垂れていると、彼はダンボールから抜け出して、テーブルの上に置いてあったペンとメモ帳を取った。
立ち上がった彼は機械的な動作をする訳でもなく、人間の様になめらかな動作をする。
本当に人間の様だ、なんて思ってしまえば、上半身裸の彼に目を向ける事が出来なくなってしまった。
三十路に片足を突っ込んで居る私は、もちろん生娘ではない。
だが、美しい彼の前では羞恥心が湧き上がる。
私は自室からオーバーサイズのパーカーを持ち出して、彼に手渡す。
それを受け取った彼は、代わりに私へメモ帳を渡してきた。
「ん、俺の名前。」
“灰谷 蘭”
驚いた、フルネームがあるのか。
花の名前だなんて、命名者はきっとロマンチストだ。
この設定のときだけな、とパーカーに袖を通しながら彼は言うと、こちらに向き直った。
「今日からよろしくなぁ?Aー?」
気だるげな表情でこちらを見る彼は、垂れ目を細めて微笑んだ。
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☆真菜*(プロフ) - すごく面白かったです!私の小説の方で名無しさんのことを宣伝(紹介)してもいいですか? (2023年3月28日 9時) (レス) @page15 id: af29f1e969 (このIDを非表示/違反報告)
灰音 - とっても面白かったです!続きとっても気になります!学校のみんなにもすすめたら面白いといってました!これからも頑張ってください! (2022年1月25日 18時) (レス) @page15 id: 2bb9e850cc (このIDを非表示/違反報告)
maaru - こんにちは!maaruです!最近読ませていただきました!続きがとっても気になります!!もともと蘭ちゃん大好きだったので幸せに浸っていました〜^_^更新頑張ってくださいさい応援しています! (2021年12月29日 20時) (レス) @page15 id: d273a29e63 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - まいまいさん» まいまいさんコメントありがとうございます!🙇♀️嬉しいです😭エラーコードはちょっと臭いかなって不安でした😂面白い作品と言っていただける様これからよ頑張ります💪 (2021年11月30日 8時) (レス) id: c598b64059 (このIDを非表示/違反報告)
まいまい - アンドロイド蘭ちゃん、めっちゃかっこよくて好きです。エラーコードまで愛のメッセージなんてもうなんかロマンチックすぎます、、!!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます〜( ´∀`) (2021年11月30日 0時) (レス) @page15 id: 40edf5f5b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無し | 作者ホームページ:https://twitter.com/nns_dreamgirl?s=21
作成日時:2021年11月17日 23時