〃 ページ41
『────、────ご、────』
耳に流れるノイズ。中性的な声。
薄く瞼を開けば、まだ早朝だ。起きているのは老人や鳥ばかり。
『────ご主人、ご主人。聞こえておいでですか。お休み中の所大変失礼致します』
クルトだ。マグノシュタットにいる間は、念話がバレないとも限らない。お前の手に負えない場合だけにしろ、と何度も口うるさく行った筈なのだが、頭の中に反響するクルトの声は焦っていた。
呆けた頭で隣を見やる。ゲルダは小さな寝息を立てながら眠っていた。
布団に包まり、横になったまま念で話を進める。
『どうしたんだ、一体』
『落ち着いてお聞きになって下さい。
────皇帝崩御……煌帝国の皇帝が、死にました』
……そんなの、元々分かっていたことじゃないか。
なんだ、そんなことか、と溜め息をついて再び眠りにつこうとする。だが、沈み行く私の意識をクルトは呼び止めた。
『確かに、煌の皇帝が死ぬ程度であれば私とて勘づいておりました。あの国であればその程度のこと、造作もない。ですがこの件については、そこが重要ではないのです』
『……どういうこと？』
『これは世界中にある、ご主人の使い魔から得た情報ではありません。
それが意味すること。
私の使い魔よりも早く、煌は私に
眠気が吹っ飛ぶ。自分らしくもなく背中が粟立った。うなじの骨が軋む。
ここで組織なんかに、私の全てを崩されるわけには行かない────
『────私の、
『落ち着いて下さい、ご主人。細かい所在地までは割れておりません。
……そうですね、ご主人に分かりやすく言えば、『特定の人物しか聞き取れないメガホンでこの地域一帯に向けて大々的に公開した』といった感じでしょうか。地域までは知られていましょうが、そのメガホンの範囲はかなり広い。この家に辿り着くまではまだ長い時間がかかるかと』
『……そうか』
慌てて起こした体をもう一度横に倒し、大きく深呼吸をする。
家についても、何か対策を練るべきだろうか。あと数年のうちに見つかってしまうのならば、どうにかしないといけない。
だが今はそれよりも、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しさん(プロフ) - 恋葉さん» ボードのほうに書き込ませて頂きました。ご確認をお願い致します。 (2019年12月7日 1時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
恋葉(プロフ) - こちらこそ、返信が遅くなってしまい、すみません…。 そこまでで大丈夫です！箇条書きで私以外の人も見ることができるのなら是非、箇条書きでお願いしたいです。私はこの作品を作る作者様が本当に素晴らしいと思います。この話をいつまでも応援させていただきますね！ (2019年12月6日 13時) (レス) id: 18327d4b2f (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - →箇条書きなどで簡潔に纏める程度、そして恋葉さんのボードに書き込む形でもよろしければ、是非書かせて頂ければと思います。 (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - →ここまでの話というのは15.5まででよろしいでしょうか？ 後日、夢主がこうなった経緯の何から何までを作中のキャラクターに説明させる予定なので、あまり細かい描写はお約束できませんが…→ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 恋葉さん» 恋葉さん、はじめまして。コメントありがとうございます。それから、返信がとても遅くなってしまい申し訳ありません。 理解力が長けていないなんて、そのようなことはありません。自分でもすごく分かりづらい話を書いているなあと毎日思っています。→ (2019年12月4日 18時) (レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無しさん | 作成日時：2019年3月11日 18時
