第128夜 母 ページ35
重く暗い水中から空気のある砦内に入ることに成功し、アリババたちは真っ先に『大聖母』へと向かう。モルジアナは激しく咳き込んで水を吐いていたが、命に別状はないだろう。
「げほ、うぇ、げほっ、げほっ……死ぬかと、おもったぁ」
「はあ、はっ、はあ、慢心なんかするから、なのですっ……」
そして、アリババたち侵入者に対して子供達も慌てていた。皆焦って母を頼る。だが彼らとは対照的に『大聖母』はひどく落ち着いていた。
「大丈夫よ。だってオルバの話じゃあ、その子たちは
「あ、ああ、そう見えた！」
「────また、家族が増えるわね」
◇
「ガキガキガキ、ガキだらけ！ どうなってんだよ、ここの親玉は何考えてんだ！？」
武器を持った子供達を蹴散らしながらアリババたちは進んで行く。魔法道具を持っていない近距離戦なら敵ではないが、自分たちと同じ位の子供が武器を持っている。戦意も削がれるというものだ。
「うおっ！？」
走って行くと角の所から急に刃物が突き出される。
本当に小さな、少女だった。
まだ３、４歳程度だろう。震える体で小さいナイフを握りしめ、アリババを睨んでいる。
驚いて立ち止まっていると、奥からさらに子供達が迫ってきた。
皆目の前の子と同じくらいの年齢。そんな小さな子供が皆刃物を持ち、軍をなしている。
動けないアリババたちは絶好の的だった。
「やーっ！！」
「うわぁあっ！？」
幼い子供たちを制圧するのも、剣で戦って黙らせるのも簡単だった。でも、アリババはそれができなかった。
向かってきたナイフを右手で掴み、なんとか止まらせる。
「や、やめろぉっ……！」
だがその隣で白龍は遠慮無しに子供たちを突き飛ばしている。ぎゃあ、と小さい悲鳴をあげながら地面に転がって行った。
「構わず進みましょう！」
「あ、ああ」
「ま、待ってよ！」
地面に倒れていた子供たちが起き上がる。ナイフは捨てて、アリババたちにしがみついて懇願し始めた。
「『
「そうだよ、殺さないで！ 僕らの『
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しさん(プロフ) - みぞれ@絵描き同盟さん» ありがとうございます慈悲をありがとうございます 次の説明欄にて書かせて頂きます！！！！ (2019年1月15日 16時) (
レス) id: 8c887b66b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぞれ@絵描き同盟(プロフ) - そろそろ14巻に突入なので質問コーナーに出没してみようかと えっと、琥珀姉さんの設定において企画段階と現在で 何か変更した点はありますか？ (2019年1月15日 11時) (レス) id: 9020e988e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無しさん | 作成日時：2019年1月3日 0時
