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拾われて3週間が経ち、包帯が取れた。
最初は怪我が治るまでと思っていたが拾い主である鬱先生が飼ってくれるらしく、この広いお城が私の家になった。
今は何をしているかって?
目の前でウンウン唸ってるご主人を眺めてます。
どうやら私に名前を付けてくれるらしく、仕事机とセットのお洒落な椅子に座って1時間。ずっと悩んで考えているのだ。
ut「カレン……ユリ……ユカ……ハッ!!!MANDARA!?」
いや、まんだらってなんですかご主人。
流石にそんな名前付けられても絶対に反応しませんからね!!
ご主人のネーミングセンスに呆れていると、ゴンゴンと扉を叩く音がした。どうやら来客のようだ。
『んにゃぅ(お客さんですよ)』
遂に頭を抱え出したご主人に向かって鳴くと、ハッと顔を上げ見つめてくるので扉の方へ歩き出す。
すると伝わったのかご主人も重い腰を上げ着いてくる。ヨシッ!!
カリカリと傷つかない程度に爪を出して扉を引っ掛けば
「外出たいん?いやでも、外出たい時なら鳴くしなぁ……あぁ、誰か来たんか
はいはい、またせてスマンやで」
なんて1人で納得しながら来客に向かって声を掛けつつ、扉を開きお客人を迎え入れる。
tn「もうちょいはよ気付いて欲しいんやが、まぁええわ。これ追加の書類な
そんで?猫の名前決まったんか?」
ご主人を訪ねて来たのは書記長として働き、書類に追われるトントンさんだった。そして話題がタイムリー
しかしまぁ、追加の書類の量多くないですか?それの期限間に合う気がしません。
『にゃぁん(まだですよ)』
ut「それが全く思い付かんのよ、どうしよ」
tn「ほ〜ん、なら黒蜜きな粉餅はどうや?」
くろみつきなこもち
いや、名前にしては長すぎませんか?あとなんでそんなに美味しそうなやつ
ut「トントン徹夜続いてる?」
tn「いや、今日のおやつが黒蜜きな粉餅でめっちゃ美味かった」
わぁ凄くいい笑顔、これがソシャゲならSSR。今日のおやつが黒蜜きな粉餅でしたか。あれ、ご主人のおやつはみたらし団子だったような……?
ut「ハッ!それや!!!」
tn「急に大声だすなや……」
結構距離が近かったトントンさんは、ご主人の大声をモロに食らったようで耳を押えていた。痛そう
なんて思っているとガシッと脇に手を入れられ持ち上げられる。
ut「今日からお前はくろみつや!」
キラキラと深い青を輝かせ、私を見つめるご主人が子供のように見えて笑ってしまった。
『にゃあ!(はい!)』
この世界での名前を貰いました。
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Licorice(プロフ) - コメント失礼します…めちゃめちゃどタイプの小説です。続き楽しみに待ってますッ! (2021年11月3日 17時) (レス) id: a0eadc7796 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七瀬弥生 | 作成日時:2021年8月9日 3時