ネクタイを緩めたら

疲れていても ページ7

side A



その後、ちゃちゃっと仕事を終わらせて

帰る頃には21時をまわっていた。


北山さんと藤ヶ谷さんは残って仕事をしているけど

私たち後輩は一足先に上がらせてもらうのが、いつものパターン。



A「お先に失礼します、お疲れさまです」



帰り支度をして、2人の上司に声をかけたら

藤ヶ谷さんは振り向いて、北山さんはパソコンから目を離さない。



藤ヶ谷「お疲れさま、気をつけて帰ってね」


北山「...お疲れ」



この対応の違い

ほんとに、天と地ほどの差があるよ...笑

もう慣れちゃったけどね。


オフィスを出ると風が冷たくて、寒がりな私には厳しいこの季節。

駅に入ってホームで電車を待っている間も、ポケットから手が出せない。


さっき藤ヶ谷さんが鍋なんて言うから、食べたくなってきちゃったよ...

今日は早く家に帰りたいからお断りしたけど

夕飯、鍋にしようかな。


スーパーに寄って材料を買って、家に着いたら鍋を出そう。

こたつに入って鍋をつついて、ビールもあったら最高かも。


仕事終わりにこうやって楽しいことを考えると

疲れも吹っ飛んでポジティブになれる。


鍋に入れる具材を頭に浮かべながら、到着した電車に乗り込んだ。

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