14話 ページ15
─これは、誰の思い出？
嫌いな病院。
楽しい遊園地。
仲良しだった友達。
お父さんと、お母さん。
雨の中傘もささないで二人が立ってるの。
濡れちゃうよ？風邪、ひいちゃうよ？
そう思って、言おうと思って
近づいたんだ。
近付こうとしたらね
急にお父さんが大きな声で怒ったの。
そしてどこかに行っちゃった。
お母さんは言ったよ。
「全部、全部アンタが悪いんだ。」
なんで？どうして？
私が…悪いの？
雨がやんで、夕方になって
夜になって、朝になって。
あれからお父さんは、帰ってきませんでした。
お母さんは私を閉じ込めた。
すぐ出られるけど、出たら駄目だ。
だって怒られちゃうんだもん。
きっと、私が悪いから。
いい子に、ならなきゃ。
お腹が、すいた。
もう七日くらい何も食べてません。
部屋から出たら、いいのかな。
ダメダメ、お母さんに怒られちゃう。
私が悪い子なのが、悪いんだ。
どんどん眠たくなってきたよ。
もう、寝ちゃおうかな。
目を閉じる前に見たおひさま
ちょっと沈みかけで、オレンジ色に光ってて
すっごく、綺麗だな。
「ハッ。」
目が覚めた。見た事のない部屋。病院みたいにカーテンで仕切られたベッドの上。
そこで私は寝ていた。
誰かの記憶。私のものじゃない、誰かの記憶。それをずっと映画を見るみたいに眺めていた。
「私の名前は…有川A…。四歳…。
誕生日は多分、六月九日。父親は出ていって。それを母親は…。」
本当の有川Aちゃんは、ちょうど私が目覚める前で死んでるんだ。
…やっぱり母親なんて、ロクな奴いない。
優しい母親だっているんだろう。きっといる。絶対に、いる。
でもそれは、私には…。
ジャラジャラーっとカーテンが開く音がする。
「様子を見に来たんだけど、起きてたんだね。」
確か、路地裏で私が倒れる前に人外戦を終わらせた、太宰さん、だっけか？
が、私のベッドの隣の椅子に腰掛けた。
多分この人がここに運んで来てくれたのだろう。
「私の、名前は。有川Aです。思いだしました…。」
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椿(プロフ) - 敦くんの茶漬け食いたい(( (2019年2月20日 18時) (
レス) id: e36d1c7298 (このIDを非表示/違反報告)
小山田リリ - ましゅ麻呂さん本当に尊敬します！！私も頑張ろ)) (2019年2月19日 20時) (レス) id: 196d5d8b2f (このIDを非表示/違反報告)
茨姫 - とても良かったです！私も頑張ってみようと思ってみました！ (2019年1月26日 22時) (レス) id: 6a42e59c6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ましゅ麻呂（とよ） | 作成日時：2019年1月26日 20時
