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「北山っ!今日も行っていい?」


同じグループになって数年


グループも少し体制が代わり、

メンバーも増えたりなんかした


俺が歳上の立場になっても

北山との関係は兄貴と弟みたいなまんま


俺がこうやって声を掛けるのも

仕事終わりのいつもの光景


そして俺がそう問い掛けると……


“またうちかよっ!いいけどさぁ〜”


んはっ♪て鼻にかかった笑い声をあげながら

嬉しい応えを返してくれるんだ


だから、今日もそう言葉が続くと思っていた





「あっ、ごめん!俺、この後予定あるんだ」





「あっ……、そうなんだ」





想像と違う反応に思わず言葉が詰まる


いや、別に約束してたわけじゃないし、

勝手にこの後も……って思ってただけ


でも、なんてゆーか………





「そんな寂しそうな顔すんなよぉ〜」





「……っ!?」





「大学のヤツと会わなきゃいけなくてさっ」





少し嬉しそうな声色に

困ったような笑みを浮かべ、

俺に説明をしてくれる北山





「あっ……、ぇっと………、

そっか、引き留めてごめんな!

じゃ、また明日っ!」





なんで北山が嬉しそうなのかわからない


でも、そんな北山を

これ以上困らせないように

俺はいつもみたく笑ってみせた


そして、急いで荷物を手に取ると

おつかれっ!と笑顔のまま告げ

そのまま出口へ足を向けた





早くうちに帰りたい





自分ひとりで空回っている感じがして

それがすごく恥ずかしくなった


それなのに………





「あっ、ちょっと待って!!」





北山の声が俺を呼び止める





「なに……?」





無視するわけにもいかず、

俺は足を止めて振り返る





「ちょっ……、もうちょい待って!」





腰につけたキーリングから

一生懸命一本の鍵を外す北山


それは恐らくいつも北山が使ってる家の鍵





「んっ、これっ!」





ずいっと真っ直ぐ俺に差し出された手





「えっ、……何?」





訳のわからないままその手から鍵を受け取る





「ちょっと遅くなるから先に入ってろよ」





「…………?」





「今、スペアねぇんだから失くすなよっ!」





その日からその鍵は俺のものになった





“どうせ毎日家に遊びに来るんだし、

そっちはおまえが持ってろよ”





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七星(プロフ) - ごんさん» コメントありがとうございます!すっきりとした読後感に浸っていただけたようで嬉しいです。良かったら紫陽花の方もぜひ読んでみてくださいね! (2017年12月1日 21時) (レス) id: 4dafb98748 (このIDを非表示/違反報告)
ごん(プロフ) - 七星さん、はじめまして。どのお話しもハッピーエンドで。。。ほんわか温かい気持ちになりました。短編ですっきりした読後感に浸りつつも、この後の二人がどうなっていくのかもちょっぴり気になります。また素敵なお話を待ってますね。 (2017年11月28日 15時) (レス) id: 37d146aaf6 (このIDを非表示/違反報告)
七星(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 相思相愛なはずのふたりが捨てたと“思い込もう”としていた恋心、随分遠回りをして桜の木の下で本来のカタチに収まりました!!ふたりの優しい時間はまだ始まったばかりです(●´ω`●) (2017年8月11日 12時) (レス) id: 8ba33d9741 (このIDを非表示/違反報告)
七星(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 時の桜にもコメントありがとうございます!そうですね!心の中でみっくんをひたすらに慕うたいちゃん、まるでワンコですね(o´艸`)そして、そんな太輔さんを大事にするみったん……桜の下に身を寄せたみったんは桜の木から太輔さんを感じていたんでしょうね(;▽;) (2017年8月11日 12時) (レス) id: 8ba33d9741 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 七星様♪どのお話もリアル藤北ちゃんが一本通っていて・・そこにそれぞれの作者様の色が加わって素敵可愛い藤北ちゃんになっていて・・ホント心奪われました( ;∀;)あとがきも読ませて頂き・・何だかみんな可愛いなぁ・・ってキュンとしました♪ (2017年7月13日 21時) (レス) id: eaab40e8e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:七星 | 作成日時:2017年4月23日 19時

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