三十二話『あの人の目は綺麗なのだろう』 ページ32
・
刃さんが少しの間飲み水を取りに行っている間、俺は思案に暮れていた。
俺は、鱗滝さんに習ったことを毎日繰り返した。
息止めや柔軟など基本的なことも日記に書いておいて良かったと思った。
ただ、半年経っても岩は斬れなかった。
俺は焦った。
足りない。まだ鍛錬が足りないのだと思った。
だから、もっとやらないと、もっと。
なのに斬れない。
刃さんは斬れていた。
何が違ったのだろうか?鱗滝さんに教えてもらい始めた時期はほぼ同じ。
鱗滝さんの家に居候として住んでいた時期は結構長かったらしいが、こんな修行を知ったのは俺と出会った頃からだそうで、そのせいで俺は焦っていた。
なんで?とか、そういう疑問以前に、俺には才能がないのかもしれない。でも、
そんなことないよ。と刃さんがいうから、ストンと胸の中で何かが落ちる音がした。
説得力なんてないらしいが、あんなにも真っ直ぐに言ってくれるから、それこそ説得力なんてないなんて…そんなことない。
それでも焦ってしまうのは、俺の心が弱いからなのかもしれない。
「頑張れ俺!!頑張れ!!!」
「うるさい!」
声がした。
岩の上から。
「男が喚くな見苦しい」
そこにはいつの間にか狐の面の少年がいた。
「どんな苦しみにも黙って耐えろ。お前が男なら、男に生まれたなら」
そう言って岩からふわっと降り……
「!!」
木刀で俺に攻撃してきた。
ドガッとさらには蹴りを放つ。
「ぐっ…」
「鈍い、弱い、未熟、そんなものは男ではない」
霧が立ち込めはじめてきた。
「急に何をするんだ!」
声高に叫ぶ。
「お前こそ何をしている」
「何って、鍛錬を…」
「いつまでも地面に尻をつけているのか。構えもせず」
「!!」
それを言われてやっと気づく。
「でも…君は木刀で俺は真剣だ」
間ができる。
そして、
「ハハ ハハハ ハハハハ!!」
「……」
呆然と笑い声に包まれる。
「ふははは ハハハッ ハハハハ」
呆然としてる俺の頭の中は真っ白でそこにはなんで笑ってんだ?という言葉すらない。
ただ、一つだけ、刃さんの声だけがほんの一瞬反芻した。
__________「そんなことないよ」。
おれは、まちがってないですか。刃さん。
・
447人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空太郎(プロフ) - smowさん» 続きすごく遅くなってすみません!あとコメント遅くなってすみません。コメント嬉しいです。ありがとうございます┏( .-. ┏ ) ┓ (2019年11月28日 22時) (レス) id: fc11c81670 (このIDを非表示/違反報告)
空太郎(プロフ) - のんのさん» 返信遅れてすみません。コメントありがとうございます!! (2019年11月28日 22時) (レス) id: fc11c81670 (このIDを非表示/違反報告)
smow - つ…続きが…気になり…ます…こ…更新…頑張って…ください…(バタッ (2019年11月5日 16時) (レス) id: a79ef504eb (このIDを非表示/違反報告)
のんの(プロフ) - とても面白いです!ステキな作品ありがとうございます!更新頑張って下さい! (2019年10月17日 21時) (レス) id: 56647d4dca (このIDを非表示/違反報告)
空太郎(プロフ) - ギルさん» コメントありがとうございます!!とても嬉しいです。十九話のは普通にこんなだったっけなーというテキトーの元書いたので、今ツッコマれて初めて気がつきました笑 (2019年8月7日 1時) (レス) id: fc11c81670 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空太郎 | 作成日時:2019年6月2日 11時