一目惚れ (橙) 2 (ページ33)

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行ってきますページ33

なんで上手く行かへんのやろ…って、あははと笑ってる。
それでも私には泣きそうなのが伝わるんだよ、丸ちゃん。

「私も頼りないから…一緒だね？丸ちゃん。」

「そんな優しく言わんくてええんよ…？だって、普通めっちゃ怒るんやで？」

「うん…知ってるよ。でもね、私は怒らないよ。」

丸ちゃんをよしよし撫でていたら、その手を掴まれた。

「調子狂うわぁ…今日、夕ご飯楽しみにしててな？」

「ほんと？じゃあ、今日頑張ってくるね。」

気持ちが決まった。

やっと、仕事で言う勇気をもらえた。

ピョコンと耳の生えたうさぎさんに。

ふわふわモフモフのうさぎさんの後は、

冷たいデスクに使い古した私のチェア。

はぁ～なんも変わってないよ…そりゃそうだけど

チラッ…

パソコンには休んだ分の仕事の付箋で埋め尽くされていた。

「おっはよ。早いじゃん。」

トンッと肩を叩かれて後ろを振り返ると

カワムラちゃんは見ないうちに髪を切っていて

胸下まであった髪は、バッサリと無くなっていた

「カワムラちゃん髪、短くても似合うね。」

「そう？なら良かった。」

「あっ…失恋とか？」

自分の話題になるのを恐れて、章ちゃん一途なカワムラちゃんにそんなことを口走った。

「……違うよ(笑)」

「そっか、」

「私さ」

「ん？」

「ずっと、忘れられない人がいてね。」

「うん」

「でも、…章ちゃんのこと本気だから
だからこれは戒め…？みたいなもの。」

髪を触ると、ふふっと微笑んだカワムラちゃんがとても大人に見えた。

「なんか……いいね。」

私もそんな大人になりたかった。

「っえ？」

「カワムラちゃんはその道を選んだんだもんね。
私も、ずっと悩んでてね。やっと選んだんだ。丸ちゃんのおかげなんだけど。」

「ねぇ、ちゃんと紹介してよね。その時は。」

「うん、もちろん。一番に。」

ガチャ…

部長「おい！体調は大丈夫なのか！？」

あっ…ぶ、部長

言わなきゃ……

「いえ、あのご心配おかけしました。……」

…っ

「A、」

「か、カワムラちゃん…」

「進むんでしょ？

前に。」

「………うん。」

ポカンとしている部長の前へ立って私は

「部長！あの、私…その

自分の言葉で前へ、

結婚、します！！！」

丸ちゃんの隣でずっと笑っていたいから。