鳥籠の中の特級呪詛師【逆ハー】

5：･ ページ6

，




裏表のない、害のなさそうな人間の笑顔。




伊吹はその表情が得意だった。

くひひ、と珍しい笑い声と共に見せる屈託の無い笑みは、持ち前のつり目の威力をかき消す程魅力的だ。



オカルトというにはリアリティが高い伊吹の苦笑いの演技に、虎杖はほうと感心した。









虎杖｢本当にいいんすね？先輩｣



佐々木の興奮も少しずつ収まり、ようやくコックリさんを始めたオカ研の一行は、虎杖の呼び掛けにコクリと頷く。





気迫溢れる表情で、思い切りよく始めた。



虎杖｢コックリさーんコックリさーん、生徒会長がギリ負ける生き物を教えてください！！｣

葵夜｢え？ジェニファーローレンスは？｣


虎杖｢おいっ、ちゃんと押さえてろよ！｣



予想だにしない質問に気を取られ、思わず十円玉から人差し指を離してしまいそうになる。


ルール的に十円玉から指を離すのは御法度なので、虎杖は慌てて伊吹の手の甲を掴み離れる事を阻止した。



佐々木｢(わ、大胆)｣



傍から見ればいきなり手を繋いだように見える虎杖の行動に、オカルト好きと言えど女子である佐々木は頬を染めによによと口を緩ませた。



葵夜｢セーフ〜、ありがと悠仁｣


虎杖｢気を付けろよ離したら呪われちゃうんだから｣


葵夜｢…そだね｣




しばらくして十円玉が僅かだが動き出す。



”く“

”り“

”お“

”ね“



と順番に移動していった。



虎杖｢ぶふっ”クリオネ“だって〜！！｣



雑ッ魚〜！


想像以上の弱さに4人が机を叩いて大笑い。



生徒会長はプランクトン辺りなのかと虎杖が思った所で、バンッと音を立て家庭科準備室のドアが開かれた。



葵夜｢噂をすれば｣


虎杖｢おっプランクトン会長、どったの？｣


佐々木｢ブプッ｣



勢いよく登場したは良いものの、全く乗ってくれないオカ研に殺意を覚える会長は、メガネを掛け直しながら合気道を嗜んでいることを伝えた。



会長｢活動報告のない研究会にいつまでも部室をあてがうほどこの学校は広くない！！言ったはずだ。｣



今日からここは女子陸上部の更衣室となるとまで宣言した所で、虎杖がキメ顔をして4人は何故か決めポーズの体勢に入った。



虎杖｢うちの先輩方を舐めてもらっちゃ困るな会長｣



ガン飛ばしの表情に入った4人は現在封鎖されているラグビー場の話へと移行した。








，

6：･→←4：･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す