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“闇よりいでて闇より黒く、その穢れを禊ぎ祓え”






虎杖「っ!夜になってく〜!」


葵夜「今回は住宅地が近いからね。“帳”は外から私達を隠してくれる結界なの」




渡り廊下の柵に乗り屋根の外を覗き見る虎杖。



空には黒インクで塗り潰したように夜空が広がっていた。





伏黒が術式で玉犬の白を出す。



伏黒「呪いが近付いたらこいつが教えてくれる。」


虎杖「おーよすよす」


伏黒「行くぞ」




葵夜「…」







────────





──────





───





──







兄様は身勝手だ。









七つになった年の十一月、帯解きの日。



大人の階段を登る大事な日に前触れもなく現れた男は自らを“兄”と名乗り、私の住む屋敷を鹵獲した。









ひれ伏す下人。


怯える両親。


燃える屋敷。




初めて見る景色だった。



人格形成途中の齢であるその年。

慈善的な両親の影響で屋敷の外に出て村の手伝いなどをしていたおかげか、随分能天気に、平和な性格になりつつあった私は、その殺伐とした屋敷の色に吐き気を催す。



彼は、



御当主様から“兄”と言う事実だけで屋敷を奪ったのだ。




「久しぶりだな、我が妹よ。ずっと探していたのだぞ。」


「妹?…葵夜に兄は居ませぬ」


「生き別れておったのだ。お前が目も開かぬ頃、俺が攫われた。」


「ああ、それは災難でした。お久しゅうございます兄上様。」









そこからはの記憶は朧気だ。






両親が彼と何を話したのか、



使いの下人がどこに行ったのか、



庭園の池の色が何故群青ではなく紅に染まっているのか、









知らぬまま記憶に埋もれた。









兄様は身勝手だ。





私を屋敷にひとりぼっちにしておいて、



私は一日中兄様の帰りだけを待っていたのに、



全然帰ってこないんだ。







帰ってきたと思ったら執拗に寝かせようとしてくるし。



たまに煮たり焼いたり、私は食べ物じゃないのに。



肥えさせようとしてんのかわかんないけど、食べたことない量の夕餉はやめて欲しい。



おかげで現代でも背が高い方に分類されるそうだよ、可愛げがないよ。









撫でる手が暖かい。



抱く腕が逞しい。



笑う眼が優しい。







私には兄様しかいないんだから、もっと私に構ってよ。







久々に村の皆とも会いたいよ。




私も兄様の慈善活動に連れてってよ。








寂しいよ。









なんで死んじゃったの。








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佐藤ななな(プロフ) - [アイク・ブルームーン]アイおっとりさん» ありがとうございます!!待ってくれてるって知ったら更新頑張れちゃいます!! (2021年8月26日 7時) (レス) id: e714be63a8 (このIDを非表示/違反報告)
[アイク・ブルームーン]アイおっとり(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2021年8月25日 23時) (レス) id: 466201e21a (このIDを非表示/違反報告)
佐藤ななな(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます…!!読者さん読んで超良かったって言って貰えるなんて幸せすぎるよー!!応援ありがとうございます!頑張ります!! (2021年8月22日 17時) (レス) id: e714be63a8 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 面白いです!応援しています!読んで超良かったと思いました!これからも頑張ってください! (2021年8月22日 17時) (レス) id: 15d4b06566 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐藤ななな | 作成日時:2021年8月18日 21時

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