. ページ24
.
.
.
さきside
たぶん神様は、私の冴えない人生にスパイスを加えたがったのかもしれない。
いや、面白がってるだけかも。
私は席替えで洋平くんの隣になった。
もちろん話せなければ、横を向くこともできない。
綺麗な顔をこんな近くで見ることなんてできない。
グッと固まっていると
よ「何ヶ月かだけど、よろしくー」
と洋平くんが私に話しかけてくれた。
噂通りの優しい人…
さき「よろしくね」
ふつうに言えただろうか?
声は震えてなかっただろうか?
うん、と優しく微笑むとそのまま放課後になることを告げるチャイムが鳴った。
急いで支度して出ていった隣の机を見ると、いつも洋平くんが持ってるスパイクケースが机のフックにかかりっぱなしだった。
あ、忘れもの。
少ししたら、忘れちまった〜ってへらりと笑いながら帰ってくるだろうと思って私も帰る支度をしていると
なかなか帰ってこない。
どうしようかと迷っていても仕方がないので、スパイスケースをもって走り出す。
2階から昇降口のある1階まで一気に降りて曲がるとそこにはまだ洋平くんが歩いていた。
さき「洋平くんッ!」
肩がビクッと上がって、ゆっくりと振り向いた。
目が合う。初めて、目を見る。
やっぱり綺麗で、赤くなる顔を隠すようにスパイクを差し出した。
さき「洋平くん、これ…」
よ「あれ?これ」
さき「忘れてたみたいだから…」
受け取ると私には笑いかけて
よ「さきちゃん!ありがとう」
なまえ、なまえ…!!
覚えてくれたの?
さき「え、あ、うん、どういたしまして」
最後なんて言ったか忘れてしまったけど、
好きな人から名前を呼ばれるだけで、こんなに嬉しいのかと、舞い上がっていた。
神様、洋平くんの隣の席のくじなんていらないから
どうかこの日まで時を巻き戻して。
欲張ってしまったわたしの目を覚まして。
.
.
.
121人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぁ(プロフ) - ノアさん» ノアさんこんな古い作品を読んでいただいてありがとうございます…自分の中でかなり挑戦した話なので、そう言って頂けて嬉しいです… (2020年3月15日 23時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - これ……………………繋がってたんですね……ウワァ………………やられました、脱帽です、ありがとうございました。あなたの言葉の選び方、比喩、情景、全て大好きです。 (2020年3月15日 20時) (レス) id: 482604c455 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - あああさん» 最後は本当に納得のいく作品を書きたくて、ゆっくり書いてしまっておりますが、どうか引退まで気長にお待ちください!本当にありがとうございます!! (2019年5月3日 16時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - あああさん» 初めて書かれる感想が私の小説であることを嬉しく思います泣 しかもこんなにたくさん…!!本当に嬉しいです!私の小説は私の経験2%くらい配合されておりまして、人生で印象に残ったシーンが度々出てきたりして、私の思い入れも強い作品が多いです! (2019年5月3日 16時) (レス) id: 07945c6d2e (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - 本当にありがとうございました。少しでもこの感情が伝わっていれば、、幸いです。また、こちらに戻ってくる日があれば楽しみにお待ちしております。では。(長文失礼致しました) (2019年4月29日 12時) (レス) id: 1b690e4942 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なぁ | 作成日時:2018年12月22日 5時