【刀剣乱舞】隠れ家の審神者さん第四弾

第177話 ページ31

籠の中に悪魔の手が迫る





逃げられるはずもなく





桃色の鳥は捕まる








連れていかれたのは何処か



酷く歪んで見えない



何処かに座らされ



縛られ








何かを飲まされる



何かを刺される



何かが体を回る



何かが中で燃える







ぐるぐると回る思考と視界の中で



瞼を閉じると



夢を見る









最初は美しく


微笑ましく






時を忘れるほどにそれは









あまりに愛おしい









そして次に来るのは必ず









絶望









息をする間も無く焼かれ



愛おしい物は皆赤色に染まり



誰かの甲高い声が聞こえ




阿鼻叫喚とはまさにこのことではないだろうか







自身の本体である銀色の刃物は



赤い何かが滴り落ちる







怨みに恨まれ




最後に斬られる









自分を斬るのは他人ではない




兄弟ではない




人間ではない








悪魔と言うものでは収まりきれない






それは憎悪の塊



皆の憎悪



誰かの憎悪








自身の憎悪









その夢が何度も繰り返される





もうどれが現実でどれが夢なのかもわからない









やがて身がそれに耐えられなくなり








気づくと自身は









檻の外から抜け出していた




ただし









魂だけの存在として









それでも良かった






やっと会いに行ける








本物の兄弟の元へ………









あぁ……

なんと悲しい現実なんだ






物も触れない手では救う事も出来ない




何処にも届かない声では知らせる事も出来ない




冷たい霊気の体では暖かく抱きしめてあげる事も出来ない




何も出来ない自分では


自分の存在を知らせる事も出来ない









もう僕は



隣で苦しむ貴方達を見る事しか






出来ないのか……









ーー、、、









A「おーい宗三さーん

なんかボーッとしながら進んでるけど本当に大丈夫？？この道あってる？」

宗三「……

貴方じゃないんだからそんな……」

A「？」

宗三「……

間違えました」

A「何してんのっ！！？？」

加州「どうしたの？」

A「道間違えちゃった」

薬研「あぁなんで玄関の方向かってんのかと思ったらそういう…」

A「出来れば聞いて欲しかったかな。もう目の前だからね

玄関」









……この人間の娘が


どうか僕ができなかった事を成し遂げてくれると








信じるしかない

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