窓 ページ1
リモートワークが増えたこのご時世、一平社員である俺もリモートワークをせざるを得なかった。
二十万という高い金を支払い、そこそこ良さげなパソコンを購入してから早一月、
俺は初めてのことに冷や汗をかいていた。
機械に疎い俺でも知っているもの
コンピューターウイルスだ。
まだ確定ではないが何もしていないのにデスクトップに見覚えのないマークがあるということはそういうことだろう。
どうすればいい、削除か、削除なのか。
今までパソコンに触れてこなかった罰だろうか、
それとも初めて自分で購入したパソコンが高額だったからか、
その時の俺は焦りのあまり冷静さを欠いていた。
普段なら何かが起こっても検索して対処するし、それでどうにもならない場合は専門家に頼む。
マウスを動かしカーソルを当てて、右クリックをする。
［削除］
あった、やっぱりこれで当たっていたんだ。
ほっとした俺は何も考えずに削除を押してしまう。
もしこれが凶悪なウイルスならば触れただけでも、いや、ダウンロードされただけでもパソコンが破壊されていたかもしれないのに。
ピロン、と無駄に明るい音がした。
すると突然画面が薄暗い青色になる。
「なんだ、これ...」
そこには、膝を抱えて座る人間のようなものが映し出されていた。
唖然としていると顔の辺りに矢印が表示される。
ここをタップすればいいのか?
rbr「い、痛い！」
「うおぁ！！」
画面から突然声がしたのでつい変な声を上げてしまった。
それより今、こいつ痛いって言ったのか？
「え、あ、あの、もしもし」
rbr「ん、なんや？」
「ひ、い、生きてる？」
rbr「当たり前やろ！人のことなんやと思ってるん」
「だ、だって...」
もしかしてこいつ、自分がパソコンの中にいるって気づいていないのか？
rbr「なんであんさんはオレの事突然ひっぱたいたんや」
「それは、矢印が」
rbr「コマンド？」
「だって画面に矢印が...」
「なんでそんなもんがオレと関係あるんや」
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作者名：三寒 | 作成日時：2023年5月6日 21時
