【wrwrd】誘拐されて幸せになるのか…？【マフィアパロ】 (ページ5)

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第三話　夢の反対。ページ5

『ゔぅ………。』

目を覚ますと、私は…牢屋にいた。
『！？！？』

正確には、刑務所にある牢屋とは少し違うのかも知れないが、冷えたコンクリートの打ちっぱなしの灰色の壁と床に、前方にある鉄格子、私が寝かされていた粗末な寝床…見た目は牢屋以外の何でもない。

ともかく、ここは何処なのだろう。
そして何故私はここにいるのか。

段々と脳が覚醒し、朧げではあるが眠る前の記憶が戻る。
そう、私に道を聞いてきた男の人と、その仲間。
恐らく彼らに誘拐されたのだろう、と予測ができる。

『…誘拐…。』

本当にそういう事件が起きた事があるらしいというのは聞いた事がある。しかし、今は実際に被害者になった状況だ。どう動けばいいかだとか、そもそも誘拐された時に取る行動での正解などあるのかすら知らない。

そう悶々と考え込んでいると、何処からか、カツカツという足音が聞こえた。
私が身構えていると、鉄格子の向こうに二人の男の人が現れた。

ボソボソと二人だけで少し話したのち、私の方に寄って鉄格子越しの正面に立った。

？「えーっと、とりあえずおはよう。白矢Aちゃん。」
『…お、おはようございます…。』

私に話しかけてきた方の男の人はへらへらと笑っており、もう一人の人からは冷たい視線を向けられているのが、恐怖心を煽る。

？「そんな怖がらんでええですよ。別に今は何もしませんので。」
『は、はい…。』
"今は"と言う所に引っ掛かったが、それを言うのは野暮というものだろう。

？「何か聞きたい事とかない？答えられる範囲では言うで。」
『じゃあ……。』

聞いたところ、名前は私の持ち物から知った。誘拐されたのは人質にするため。あの時声を掛けてきた人はスーツを着た青い人の方の変装らしい。

？「せや、僕は鬱って言うんよ。」
急に思い付いた様に言われる。

？「あ、言っちゃうんすね…？」
ut「本名やないし、別にえっかなって思って。」
？「あー、なるほどっす。じゃ、俺はショッピっす。」

『分かりました。鬱様、ショッピ様。』
私がそう言うと、二人は鳩が豆鉄砲を食った様な顔をした。全く見当も付かないが、二人共固まっているので、何か変な事を言ったのかも知れない。

『何か不快に思われましたか…？』
shp「いっ、いや…そう言う訳やないっすよ…。」
ut「思ってへん…。」

二人はどうしたもんや…などと呟きながら頭を抱えた。

ut「あの、えーっt？「大先生、ショッピ！！！！」