永瀬くんには堕ちないんでッ！！４【Ren.N】

１３３％ ページ3

░▒▓█





「バッカじゃないの！？恥ずかしいこと言わないでよ！！

　っていうか、付き合ってないし！！」




「あれ、素直なAはどこにいったん？笑」


「…ｯﾁ、」




「あははっ 久しぶりに聞くと痺れるわあ！その舌打ち！！」


「舌打ちで喜ぶ男とかほかに見たこと無…ッ」








いや、サルは、…優太は。


私に叱って欲しいって、言うような男だ。



舌打ちしても、懐かしいなあって笑ってくるような男だ。






そう脳みそが要らないことを私に思い出させるから、反射的に言葉が詰まってしまった。


サムの前ではサルの存在は忘れようって必死に頑張っているのに。




私の中に居座り続けるサルは手強くて。

もちろん、優太も私の心にしがみついてるわけで。






「ん？」


「ううん、何でもない。…あ、ほら。もうつくよ。笑」






急いで作り笑いをして、座席から立ち上がった。






「おん、」








どうして、あなた達はこうも似ているのだろうか。


どうして、私の心をかき乱すのだろうか。



同じところが多い分だけ惹かれる部分もあるのに、似ているからこそ。


…いつだって、心が痛むんだ。







私が恋していた優太は綺麗な想い出にするつもりだったのに。



きっと、サルが私の元へとやってきたから。

また新しい感情が動き始めてしまったんだ。





それは。





私の中で分離していたサルと優太が、1人に成ろうとしてる…ということ。




私の心の中で保管していた綺麗な優太が、サルに吸われようとしてる。


あれも、サルの内だっただけって。





性格の悪い私が、”大好きだった優太”の存在自体を否定しようとし始めてるの。


あんなの、幻だったんだって。





でも、それが今とてもつらい。



恋焦がれていた優太を忘れてしまうこと、その恋心自体を無かったものにすることが。






…私が好きだった優太と、目の前にサムの行動が重なると。





たったそれだけで、まだ忘れたくないって。


古い優太との思い出が綱引きされてるみたいに、悲鳴を上げてる。









どうして、世の中は一筋縄ではいかないようにできてるのかな。









░▒▓█

１３４％→←１３２％

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す