20 ページ20
･
私は一人分の場所を残して、ベッドに入った。
もしこの行動が毎日になったら。
ヒロインは彼が返ってこない夜を切なく思うんだろうな。
私の身に起きる一分一秒が私に想像力をくれる。
独りきりだったこの家に私以外がシャワーを浴びている音が聞こえるだけで、感じることも考えることも目まぐるしく変わる。
今まで、彼氏がいたところで、なんて思ってた。
でもやっぱりそう思ってたのは、一人ぼっちだった自分を庇うための言葉で。
何かが変わってしまうのが怖かっただけで。
でも変わったから、こんなにもいろんなことが変わった。
･
数十分後、平野くんが私の隣に横になったことに気が付いた。
でも私はまだ起きていることを言うことができなくて。
また数十分が経って、平野くんの方へと寝返りを打って。
私は彼の寝顔を見た。
眠っているだけでこんなにも綺麗なのかと、もはや溜息が出そうになる。
それと同時に、ふと平野くんに触れたくなる。
私は指先を平野くんの頬に伸ばした。
ふっくらとしていて、張りのある頬。
「…起きてたの？」
「えっ、」
まさか平野くんもまだ起きてたなんて。
「それとも、起こしちゃった…？」
「…ううん、起きてた。」
「もー、ちゃんと寝なきゃダメだよー。笑」
「…色々考えてたら、眠いのに寝れなくなっちゃって。」
「あるねー、そういうこと。でも…、」
突然平野くんのおでこが私のおでこにくっ付いて。
訳が分からなくなる。
「今は全部忘れて、俺と寝なくちゃね…？」
掠れた低い声が私を落ち着かせてくれることはなくて、裏腹に心臓が早く動いている。
でも平野くんが私の手を握りながら「おやすみ」って囁いてくれるから。
しばらくすれば、私は眠りについていた。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 837人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*咲七波*(プロフ) - Anzu1134さん» コメントありがとうございます！ゆっくりではありますが引き続き読んでくださると嬉しいです！笑 (2019年10月19日 6時) (
レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
Anzu1134(プロフ) - 更新とても楽しみにしています！ 頑張ってください！ なるべく早めに更新してくれるとありがたいです。 (2019年9月30日 1時) (レス) id: 68bfd8b6e0 (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - あちゅぴさん» コメントありがとうございます！これからも読んでくださると嬉しいです〜！ (2019年9月14日 11時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
あちゅぴ(プロフ) - このお話とても面白いです！！続きも楽しみにしていますね！ (2019年9月13日 18時) (レス) id: 9024cefd53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：*咲七波*
| 作成日時：2019年8月23日 10時
