RE: 永瀬くんには堕ちないんでッ！！【Ren.N】

３６％ ページ36

░▒▓█



スマホに送られてくる神くんと初めて撮ったプリクラが、なんだかすごい嬉しくて。
宝物が増えたような気がして、心が穏やかになる。

「ああっ、もう笑い疲れたよ！！」

そう笑って神くんの肩を叩く。

「でも楽しかったでしょ？今日一番笑ってくれて嬉しかったよ、ホント。」

「うん、ありがと。神くんは、本当に最高の友達だあ…！」

「…、でしょ？」

「次はどこに遊びに行こっかなー！」

「Aちゃん気が早すぎ！笑」



.




そうやって笑い合うのが楽しかったし。
何よりも自然だったから。
私にとって完璧な男友達だったから。
神くんも私のことを女友達だと思ってた。

だけどやっぱり、私はいつもどこか抜けていて。
周りの人を悲しませてしまうんだ。

そしていつだって。
私は気が付くのが遅すぎる。




.






「なーあ、」

「え？」

猫撫で声で私を呼んで、後ろから抱き着いて来る。
今日も今日とて可愛い彼氏くん。

「水族館いかん？」

「え？この時期に？笑」

「何やねん、行きたくないん？」

でもすぐブスってして。
そんなとこも可愛い。

「もー、違うってば、笑」

なんて笑って廉の手の甲を擦ってみる。

「チケット貰ったんよ。ほら、」

私の目の前にイルカが海から飛び出している写真のついたチケットが現れる。

「わあ、ホントだ。誰から？」

「ユリさん、」

女の人の名前が廉の口から出てきて。
私の身体は分かりやすく強張る。

「へ、へえ。」

「展示館の職員さんなんやけど、最近彼氏と別れて必要無くなったからやるって。笑」


正直に全部答えてくれるところが、たまに心に痛いっていうか。
どうせならたまたま拾ったくらいの嘘の方がまだ笑えるっていうか。

「そうなんだ…、ちょっと気の毒だけど。笑」

「まあええやん！俺Aと水族館デートしたかったもん！」

でもそんな風にそんな可愛いことを言われると。
スッとまあいいかって思えるようになってしまった自分に。
やっぱりびっくりする。





░▒▓█

３７％→←３５％

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す