「君の唇に、秘密。」 ページ32
*.:・.。*
AAちゃんは、俺が担任のクラスの女の子で。
いつも席に一人で座って。
本を読んでたり、窓の外を見てたり。
優しそうな印象なのに。
彼女には友達が一人も友達がいない。
少し、気にかけてた。
別にトラブルはないけど。
担任として、気にしていた。
だけど、彼女に気を配ってしまう理由は他にもあって。
それは、やたらと目が合うこと。
俺がAちゃんに目をやると、必ずと言っていいほど。
他の先にあった彼女の目線は、俺に移る。
それがどうだとかなんだとか、考える必要なんか無いことくらい分かってるけど。
そんな彼女だからこそ、気になってしまうものがある。
惹かれる何かがあった。
いつも一人の君は、俺を見て何を思っているんだろうって。
たった、それだけの。素朴な疑問だったんだ。
種なんて、それくらいの。
小さいものだったんだ。
.
「最近、悩み事とかある?
それかー、俺に話したいこととか。」
「…聞くってことは。何か悩んでるように見えるから?」
礼儀がしっかりしてそうとか、勝手に思ってたのは俺だけど。
Aちゃんは結構フランクで。
敬語で話してくれたのなんか、面談が開始してから1分の間くらいだった。
別に、いいんだけどね。
なんか、もう少し物腰が低くて。静かで。大人しくてって。
勝手に、想像してたから。
だからこそ、強い印象を受けたんだ。
気に掛けていた想いは、いつからか興味に変わってたなんて。
この頃の俺は、思いもよらなかった。
「あははっ、そんなことないって!みんなに聞いてること!
特に無ければ無いでいいよ。無い方が良いしね?
それに、無ければ面談は終わりだし!」
「んー…、悩んでるっていうか。」
Aちゃんは目線を上の方に泳がす。
「何かある?」
「先生ともう少し話してたいなーとか。
私が思ってるって言ったら、優太先生困っちゃう?」
「…えっ、」
俺の目だけをじっと見て、少し首を傾げて。
君の微笑む顔を初めて見た瞬間だった。
今思えば、もう始まっていた。
君に惹かれてることくらい、知ってたくせに。
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*咲七波*(プロフ) - 華希さん» コメント返信遅れてごめんなさい!お話読んでくださってありがとうございました!またお待ちしてます! (2020年4月21日 17時) (レス) id: 9064239303 (このIDを非表示/違反報告)
華希 - コメント失礼します!素敵な話で、一気に読んでしまいました!ありがとうございます! (2020年3月31日 21時) (レス) id: c9cd880fe4 (このIDを非表示/違反報告)
☆pepe☆(プロフ) - ありがとうございます☆待ってますね(o^^o) (2018年11月29日 17時) (レス) id: 370f78961e (このIDを非表示/違反報告)
*咲七波*(プロフ) - ☆pepe☆さん» いえいえ!もう少しだけ先生との禁断恋愛楽しんでいってください!笑 (2018年11月29日 16時) (レス) id: 3d58baab0f (このIDを非表示/違反報告)
☆pepe☆(プロフ) - 咲七波さん☆岸先生側も知りたい!って思ってました。ありがとうございます。これからも楽しみにしてますね(o^^o) (2018年11月26日 16時) (レス) id: 370f78961e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*咲七波* | 作成日時:2018年11月11日 1時