『00』 - Memory ページ9
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屹度、此れは
迚も。
儚く、愚かな───。
思い出したくもない、
"脳の一部"
にしか、過ぎないのだろう。
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(…話す声
吐息混じりの声、
複数人の。)
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「…じゃあ、御互い初対面(・・・)、と云う事だから」
____自己紹介。
「……して貰おうかな。」
喜色を湛えている男は云った。
"自己を紹介しろ"
と。
「えー…、却下。
第一、…何でこんな事しなくちゃならないのさ」
──面倒臭いし、何の得にもならないじゃないか。
頬を膨らませ、不貞腐れている者、一人。
「……っ、えっ…と……。
そっ、その……」
上手く喋れず俯き、床一点のみを見てしまう者、一人。
「まぁまぁ。
そんな事、云わずに。ね?」
そんな両者の姿…──、態度を見て更に男は、云う。
「他人を、他者を知ると云う事は素晴らしい事だからね」
…と。
「…ふーん。他者…、ねぇ……。
益々判らない」
興味が無いのか、後ろを振り向き。
歩き出そうと体勢を整える。
「…何処に行こうと云うんだい?」
「…別に。
何処だって構わないじゃない。
本人の自由なんだから」
そう冷たくあしらい、踵を返す。
「っ____、」
何かを云おうとして、口を、唇を開く。
「まっ…、待って…下さ____っ!」
駆け寄ろうと、近付く。
が、
盛大に躓き。
"痛たた…"と、呻き乍も眼前を向き、見据える。
「……何、」
踵を返していた、跫が鳴り止む。
光の無い、底の見えない、視線に怯みつつも眼前を向く。
そして、か細くて震えを為しているであろう、声で問い掛ける。
「じっ、…自己…紹介、しま、せんか……?」
羞恥と混乱とで、頬、瞳が紅く燃える夕日の如く染まってゆく。
恥ずかしいのを覚悟の上。
意を決して、ほんの少しの勇気を振り絞り。
云うのである…______。
「え"……、それ…本気で云ってる?」
"うげぇ…"と、顔を歪ませ、
「面倒臭……」
と、愚痴を溢し乍も向いてくれる、其の者の名は…______。
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(初めまして、の関係。
何を思い、考えて、感じているのかが、
理解不能である。
理解不能だからこそ、
分かり合える事も有るのだろう、屹度。)
ーーー
『記憶…変はるとも、
想い変はらず。
皆、同等である______。』
(或る手記より)
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【或る男の独白】
…誰でも良いから、状況を覆してくれ。
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七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 曇天に笑うさん» 申し訳御座いません。(そう云って貰えて本望です。ですが過去篇が終了次第、再開するので待って居て下さると幸いです。感想有り難う御座いました) (2019年8月13日 16時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - せっかく更新するのを楽しみにしてたのですが (2019年8月13日 16時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 華恋さん» 感想、有り難う御座います(そう云って頂けて本望で御座います。此れからも楽しんで頂ける様、精進致します。更新遅いですが如何かお付き合い頂けると幸いです。) (2019年8月7日 0時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - えっと、、、控えめに言ってマジで好みです・・!!更新頑張ってください!無理はなさらずに! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 8414810f45 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - Aster.さん» 大丈夫ですよ(いえいえ。此方こそ遅れてしまって申し訳有りません。悔しい…だ何て…。嬉しいです。優しい気遣い、有り難う御座います。本当に。私のペースで頑張りますね。…狙って遣って下さいませ〜。待ってますので) (2019年8月3日 20時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七海@返事・更新滞ります | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nanamikinn1/
作成日時:2019年7月31日 10時