48 - cruel ページ38
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「っ…!!……首領、御言葉ですが____」
反論の意を示そう。と、旗を奮う。
「…いいよ。俊英たる太宰君の考えだ。
間違っていよう筈がない。
君はいつだって私とポートマフィアに絶大な貢献をしてきた。
今日もそうであることを願うよ」
だが森の一言により、太宰は虚を衝かれたように黙った。
そして何度か思考を──脳味噌全土──…へと巡らせた後、ゆっくりと息を吸い、二度に分けて吐き出す。
その行動を鴎外は、吟味するかの様な視線で見詰めていた。
「……彼女は未だ______、」
「"気付いていない"…、
そう云いたいのだろう…?
勿論、その事を知った上で…理解し、こうして君に話をしている。
…流石の私にだって、その位の判別は、容易に想像出来るのだよ?
太宰君、余り大人を、私を揶揄かうのは止めなさい」
指を交差させ乍、味わう様に呟く。
「……なら…!!」
「…だが、彼女は孰れ知る事になるだろうねぇ。
____君が如何なる手段を用いたとしても」
──それは厭と云う程の悲鳴を上げる位には、ねぇ…?
「!!!」
雷霆に打ち砕かれた様な衝撃に、足場が覚束無ずにいる。
「…だってそうだろう?
何か私は間違った事を云っているかい?云っていないよね?
ああそうか、そうしたら君は。
____一生、彼女に触れる何て事を為し遂げられずに──…。
…いや、出来ずに生きる事になる。
心算はそう云う事を先程から云いたくて、仕方がなかったのだろう?」
「………」
立ち尽くし、動かない。
動かない…と云う表現で表すものでは無い。
太宰は_____。
「太宰君、君は頭が善く回る。私を越える程にね…?」
意志を失った薇機械の如く。
電源装置を抜き取られ、動く事を強引に停止された、薇機械のやうに。
「私が何を云いたいのか、予想が付くだろう____?
君ならば」
思考を、動くと云う行動を。
____強制的に、
「大丈夫。そんな大した事じゃあ無い。
必要以上に彼女を君が恐がらせなかったら、だけれどね…?
それと…私の云う通りに動いてくれれば後は何をしてくれて居ても構わないよ。
だから____」
"判っているよね"
…執らせようとはしない。薄紫色した瞳は、執拗以上に絡み付いてくる事を、太宰は此の時、改めて実感する事となるのであった。
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(逆らえぬ命令、とは
如何なのだろうか。
自ら、思慮し解答を見付けると好い。
___と、或る者は云ふのだ。)
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【或る男の独白】
…誰でも良いから、状況を覆してくれ。
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七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 曇天に笑うさん» 申し訳御座いません。(そう云って貰えて本望です。ですが過去篇が終了次第、再開するので待って居て下さると幸いです。感想有り難う御座いました) (2019年8月13日 16時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - せっかく更新するのを楽しみにしてたのですが (2019年8月13日 16時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 華恋さん» 感想、有り難う御座います(そう云って頂けて本望で御座います。此れからも楽しんで頂ける様、精進致します。更新遅いですが如何かお付き合い頂けると幸いです。) (2019年8月7日 0時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - えっと、、、控えめに言ってマジで好みです・・!!更新頑張ってください!無理はなさらずに! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 8414810f45 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - Aster.さん» 大丈夫ですよ(いえいえ。此方こそ遅れてしまって申し訳有りません。悔しい…だ何て…。嬉しいです。優しい気遣い、有り難う御座います。本当に。私のペースで頑張りますね。…狙って遣って下さいませ〜。待ってますので) (2019年8月3日 20時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七海@返事・更新滞ります | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nanamikinn1/
作成日時:2019年7月31日 10時