夫が冷酷窮まりない件について-第弐夜-

０８ - nothingdaily ページ28

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___"何か遭ったか"



その言葉に身体は正直と云っても過言では無い程、反応して。



「っ"…！あ"……いい、え……」



やっと喉から声が出せる。──事に安心を覚えたの束の間。




「…早速で悪い、…と思ってる。

その…っ、…解答──は、出せたか…？


一寸、経ちすぎちまったからな…時間。


…けど、沢山考えられたンじゃねぇか。とは、思ってる。


……実際は如何だか判らねぇけど…な…？」




───吸えなくなる。




「っ"…！！」



逃げてはいけない、臆しては為らない。


そう教えられた…彼の人に。



「……済まねぇ。

けど、俺にも、俺の心情つーモンがあるからな。

其処だけは譲れねぇ」


──本当、悪りィな



申し訳無さそうな声色で謝罪する──…さんは。


じっと私の顔色を窺っている様だった。




「……っ"、あ"…悪い…のは、

中原…さんの所為…じゃ
ない、です……っ"〜…！

けほっ…！はっ…」




そう、悪いのは。



中原さんの所為では無い。



悪いのは。


凡てを、彼の人…を、拒絶してしまっている私自身だと云う事。


もう一つは。


向き合わなくては為らない精神を持ち合わせていない己自身だと云う事だ。




「…なら、良いンだけれどよ？

……じゃ、もう一度問うからな？」


──今回は恐がらずに



「…答えてくれよな。

大丈夫だ。

前回…みてぇな問い方はもうしねぇから。

あの問い方は流石に…なァ？…うん、悪かったと思う。

だから、そう気張らずに、思ってる事全部、答えてくれれば良い。

焦らず、ゆっくり…自分の速度でな。

それと、お前なら、絶対に答えられる……。

…少なくとも俺の前では、そう在って欲しいって俺は思ってるンだぜ？」



安心させてくれようとしているのか、空いていた寝台脇に有る椅子に腰掛け乍そう云い、私を気遣いつつ、問うてきた。




「____糞太宰の事、如何思ってる？」



何の混じり気の無い、澄んだ蒼の海に溺れてしまいそうだと思った。



「っ"____！


それっは_____、」




二週間…で考えた事を伝えるのは些か緊張が走る。



そう胸中で思い乍、震える喉を酷使し、言葉を紡いでゆくのは_____




私の中に在る、強迫観念が"そうしろ"と命令を出しているのだ、と吟味しているのではないか。



と、微力乍に感じた私が居るのだった。



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(答へられぬ問ひは

答へなくとも善い。

唯、答へるべき問ひには

答へるのが世の理である_____、)




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【或る男の独白】

…誰でも良いから、状況を覆してくれ。

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