夫が冷酷窮まりない件について-第弐夜-

０７ - nothingdaily ページ27

_



____"会っても、大、丈夫…で…す……から。"


_




「ほ……本当に会っても大丈夫──平気、なのか……？」




不安で溢れた声で訊ねた。



若干、自分自身でも声が上擦っている…とは感じるが。




「…は……いっ…大丈…夫ですっ……けほっ！はっ……ふっ……！」


……これ以上、無え位の疑心を覚えるのは俺だけじゃ無いと思う。



「…あっ…嗚呼、

あんなに咳込んでいらっしゃって……大丈夫でしょうか…？

あ…っ、すっ、済みません……その、つい…心配なものでして……」



頭を、視線を下げ乍答える構成員を一瞥した。




理由は何となく、だ。




「…良いんじゃねぇか？

そう云う感情を抱いていても」



そう云う『感情』____…



俺には、まだ判り切れていない事柄だが。




「…別に抱いていても、

可笑しく無いと思うゼ？

あっ…つっても此れ、あくまで俺個人の感想な…？

……んじゃ、一寸行って来るな」



「…そう、だと良いのですが……。

！はい。気を付けて行ってらっしゃいませ」




構成員に手を振る。




───いつか判る日が来ると良いな…何て淡い想像を抱き乍、真っ白な扉を潜り抜けて行く_____…。







唯、其処に居たのは。





──泣き腫らた瞳で空虚を…扉が開いた方を俺が立っている場所を。





茫然と見詰め乍、震えている──…彼女の姿であった。






「……何か遭ったか…？」






_




(虚空を見渡す。


理由無くとも、


唯、見渡す。


それだけで充に分である。)



_

０８ - nothingdaily→←０６ - nothingdaily

【或る男の独白】

…誰でも良いから、状況を覆してくれ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す