夫が冷酷窮まりない件について-第弐夜-

４２　-　cruel ページ20

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「……」




"___君は何に対して畏れを為しているんだい"




「私は、何も…畏れてなどいませんよ。…首領」



懐に手を携え乍、瞳を閉じ、ほんの少しの間。




吹き抜く風に身を任せていた。




が、目を見開くと。




素早く携帯電話を開き、掛ける。




そう。掛ける…と云っても、誰に掛けているのか。




其れは____、…自身の部下に掛けているのである。




「…嗚呼、うん。そう。

頼みたい事があってね…。

召集…を掛けて貰えないかい」



___勿論、人は私が此れでもなのかい…？！…って感じる程、うんと集めておいてね？




何て、やや遊びに、いや違う。脅し…いや此れも又違う…そう、脅迫……に近い感情を籠めて伝える。




「…後は_____」




懐に携帯電話を戻し乍、その場に留まる。




「…どう引き離す。
か、_____」


──良いや




「…此方は後にしよう。


色々と面倒な事に成り代無いだろうから。



それよりも、今は」




____彼女を、






「…首領の目の届く範囲に、」




____…連れて(・・・)行かないと。





「…そうと為れば、矢張。


二週間…何かでは足りない……けど、」




──遣るしか無い、ね




「……待っていて呉れ給よ？」



___A





「…君は、私が。」



───何をしてでも




「喩え。


躾…紛いに、脅迫に、


____精神的苦痛を伴う嵌めに為ったとしても」




首領の処に____、






「連れて行ってあげる。…から、」






___だから、それまでは





「…暖かくて、


『幸せ』と、云う二文字…気持ちで溢れた


日々を過ごすと良いさ。」



こう願ってしまうのは。



屹度、





"彼の人"が満更でも無い表情で云って…語っていたから何だろう、と。





思慮する私が居るのだった。



_





(消せぬ疑心と、


…零れ堕ちた、記憶。


如何も、同じ___…である。)




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【或る男の独白】

…誰でも良いから、状況を覆してくれ。

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