夫が冷酷窮まりない件について-第弐夜-

３８　-　cruel ページ16

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「…」



何も答えない。



唯、黒ずんだ視線を、
声のした方向へと、向ける。




「……『沈黙が多いのは、
考えていないのと同義』

だったかな？」



そんな太宰の姿を一瞥し乍、微動にも動く事なく。




淡々と述べてゆく。





「…っ、どうして、
それを____」




「──知っているのかって？」




その問いの先-beyond-を解っているかの如く、呟く。




「…簡単な事だよ、太宰君。

何せ、君が彼女に云った言葉の中には、

少なからずだけれども、

私が教え込んだものが含まれているからね」





「！そう云う事か…。

…首領。


貴方は私が彼女に対しての"策"を提示してから、今まで」





──此の瞬間-moment-が来るのを待っていた…。






「…違いますか？」





底知れぬ闇が、空間を、辺り一帯を支配していた。






誰も喋る者など居なかった。





…いや、喋る____。





発する…事すら難儀な事だと感知していたからである。





其れはたった一度でも言葉を発してしまえば、"自身の命は無い"と云われている事を吟味しているからでもあった。




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(臆する事無き、

行為は。


有言実行為りて。


阻む者有らば____)




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【或る男の独白】

…誰でも良いから、状況を覆してくれ。

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