36 - cruel ページ14
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『_____僕に君を護らせてくれないかな』
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「っ"…!はっ……」
厭な──…思い出したくも無い記憶を視てしまった。
「……っ"、うう"…嫌…!はっ…はぁっ…厭だ……」
身体が、手が…震えを為して仕方が無い。
夢(・・・)、にまで出てくると云うのだろうか。
「っ"…〜!厭だ…ッ、視たく…無いっの…に……!」
震えは止まらない。
嗚咽も止まらない。
涙が頬を伝ったその刹那、首元で何かが涼し気な音を立てた。
「…っ"、あ"……」
如何してだろうか。
今、目の前が滲んでくる理由何て、何処にも無い筈なのに。
「…っ"〜!止めっ…て……!厭、だぁ…!」
涙を流す、理由何て無い筈なのに。
「うう"ッ……!」
雫が花弁の如く、舞う。
一粒の涙を見る度に思い出す、情景。
忘れたいと願う、記憶。
「……ッ、判って…る…!
けど……」
頭を抱える。
理由は簡単だ。痛い、と感じた。唯それだけである。
其の反芻で思い出したのは。
つい最近、話した其の人…____との会話で云われた事だ。
"答えられる様に、聢り考えておけ"
「…っ"、うう"…私っは……違ッ…はぁっ…考えて無い、訳じゃ……!」
自分が今、何を呟いているのか何て判った物では無い。
「……うう"…ッ、も…厭だ…ぁ…」
いっその事、凡てを忘れたいと思った。
厭な記憶も、幸せ…だと感じた記憶も。
答えられなくて良い…から、
「……これ以上、ッ…私に…見せない…でっ…____!」
そう感じる私は矢張、愚かなのかも知れない。
誰かが発していた通り。
完全に意識を断ち切る前に、耳に残った言葉。
其れは______。
彼の人が、私に向けて云った、言葉。
暖かくて、純粋で、嘘偽り…の無い、言葉。
"_____そうだこれ‥A、遅れちゃったけど、誕生日おめでとう"
そう、其の言葉は。
『私』と云う一人の人間が、此の世に生を受け、
彼の人に祝いをされた日の出来事、____。
「ッ_____、!」
何も発せなかった。
何故なら発する、と云う行為すらも、出来ずにいたから。
そして私は意識を断ち切った。
壁に掛けられている時計だけが、知っている。
私と彼の人の───…、
思い出-memorys-を。
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(記憶に囚わへる事は、
純粋な証拠か、其れとも____愚かで滑稽な証拠なのだろうか。
帰して尚、考へる者は、如何なものだろうか)
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【或る男の独白】
…誰でも良いから、状況を覆してくれ。
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七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 曇天に笑うさん» 申し訳御座いません。(そう云って貰えて本望です。ですが過去篇が終了次第、再開するので待って居て下さると幸いです。感想有り難う御座いました) (2019年8月13日 16時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
曇天に笑う - せっかく更新するのを楽しみにしてたのですが (2019年8月13日 16時) (レス) id: 96967fede0 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 華恋さん» 感想、有り難う御座います(そう云って頂けて本望で御座います。此れからも楽しんで頂ける様、精進致します。更新遅いですが如何かお付き合い頂けると幸いです。) (2019年8月7日 0時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - えっと、、、控えめに言ってマジで好みです・・!!更新頑張ってください!無理はなさらずに! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 8414810f45 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - Aster.さん» 大丈夫ですよ(いえいえ。此方こそ遅れてしまって申し訳有りません。悔しい…だ何て…。嬉しいです。優しい気遣い、有り難う御座います。本当に。私のペースで頑張りますね。…狙って遣って下さいませ〜。待ってますので) (2019年8月3日 20時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七海@返事・更新滞ります | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nanamikinn1/
作成日時:2019年7月31日 10時