＊紫弦様リクエスト「いままでありがとう。と言って消えてみたら…」 ページ26
『____…いままでありがとう』
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
中島敦
「あっ…待って…そんなｯ…！Aちゃん…！！」
彼は最期、貴女が笑いながら消えていく姿を見て、こう呟きます。
「…有り難うだなんて僕は何もしていないのに…どうしてｯ…」
彼は貴女が消えた後、ずっと暗い顔ばかりしています。
貴女は本当にこれで良かったですか？
太宰治
「駄目だ…！Aｯ！行かないで呉れ給ｯ…」
彼は涙を流し乍、貴女の手を掴もうとします。
が…掴む前に消えてしまいます。
「…Aｯ嗚呼…私ｯが…！！！！」
“もっと真面目に話を聞いていれば”
と、彼は悔しさのあまり唇を噛みます。
「…“有り難う”だ何て言葉、云われる資格ないのになぁ…。」
と、彼はまた涙を溢します。
国木田独歩
「くっ…！A…！」
彼は必死に体をベランダから乗り出しますが、貴女が居る場所までは届きそうにありません。
貴女は切なそうな表情で彼を一瞥するとスゥ…と足から透けてゆきます。
「！…何でだ！？何で…Aは…！」
はぁはぁと息を切らす彼。
その目には後悔と哀しみの両方が入り乱れています。
「俺は…何の為に彼奴を…！」
そこまで云うと彼は、ぐっと拳を握りしめます。
江戸川乱歩
「ｯ…馬鹿！何で…君が…」
フルフルと肩を小刻みに震わせ乍、彼は小さく呟きます。
「…いなくなる何てあんまりじゃないか…どうせだったら…」
“僕も一緒に連れていってよ”
彼の心の内を聴いた貴女は何を思いますか？
福沢諭吉
「ｯ…！」
彼は貴女が消えていってしまうところを見たくないんです。
じっと下を向いています。
けれど、貴女が
「ねぇ、此方向いてよ…」
そう涙声で云えば、ゆっくりと向いてくれます。
そして貴女に愛の言葉を囁くのでした。
「…Aが居なくなっても私は永遠に想い続ける」
偽りのない彼の言葉に貴女はハラハラと涙を溢すでしょう。
芥川龍之介
「何故だ…」
彼がそう呟いた時には、もう遅く。
貴女の姿は半透明になっていました。
貴女が
「泣かないで？」
何て声をかけると
抱き締められます。
「…僕を置いて逝くな」
そう喉を震わせて呟く彼の姿は、母親との別れを惜しむ少年の様に見えたのでした。
続きます
＊「いままでありがとう。と言って消えてみたら…2」→←＊「文豪とペアを組んで武術大会に出たら…2」
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七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - 黒バイさん» 有り難う御座います。そう言って頂けて何よりです。リクエスト有り難う御座いました。 (2018年11月26日 7時) (
レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - マイさん» 楽しんで頂けたのなら良かったです。応援有り難う御座います。 (2018年11月26日 7時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
黒バイ(プロフ) - 有難う御座いました。自分からリクエスをしたにも関わらず傷ついた文豪たちを見て心が痛くなりました。これからも応援しています。 (2018年11月26日 6時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
マイ(プロフ) - リクありがとうございました！！スゴく良かったです！！これからも頑張ってください！！ (2018年11月26日 0時) (レス) id: 503aa2dbd1 (このIDを非表示/違反報告)
七海@月と星−−君と幸福な世界(プロフ) - ノンさん» 有り難う御座います…！多分、今日中には続編に行ける筈…なので、その時またリクエストがありましたらどうぞ遠慮なくして下さいませ (2018年11月25日 18時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七海@月と星−−君と幸福な世界 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nanamikinn3/
作成日時：2018年8月23日 9時
