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陸。 ページ6






郁葉は、鷗外の忠告を胸に仕舞い(しま)



会議室をエリスの手を離すまい。と思いを寄せながら、出ていく。




そして長い長い廊下を渡り、座敷牢へ通じる道をと向かうのだ。




そう___Qを迎えに行く為に。









「郁葉さん、こんにちは」



「今日は、Q___否、久作君。」




郁葉は『Q』と喚ばれる()少年___夢野 久作(ゆめの きゅうさく)が居る、座敷牢の前へと腰を下ろす。





「ねぇ、郁葉さんは何しに来たの?新しい仕事?」



郁葉が腰を下ろたと同時に、久作が問い質す(ただ)かの如く、訊ねる。



「…少し、否。大分(だいぶ)違うかな……」




郁葉は微笑みを浮かべつつ。エリスに隣へ来るよう、手招きし、自身の膝へと乗せ。



概要を話し出して貰うことにしたのだった。




「キュウサク!一緒に出掛けに行きましょう!」



「!…外!?行きたい…!……けど、行ってもいいの…?」





訊ねる久作の瞳には、深淵の闇のように黒く、濃いモノが映し出されていた。





その瞳___姿を静かに傍観していた郁葉は陽だまりのような、優しい声で久作に告げる。





「……勿論、善いに決まっているだろう…?その為の僕が居るのだから。」



___そう、だからね。





「自由に、久作君は僕と共に、エリス嬢の相手をして欲しい。……そう、願っているんだけれど…。如何、かな…?」




郁葉の言葉に久作は弾けんばかりの笑顔を浮かべ、




「郁葉さん!有難う!」





と郁葉の方へ手を差し伸べた。





「……如何致しまして、だよ」





郁葉は差し伸べられた手を握ろうとは、せずに。





言葉だけで礼を述べた。






郁葉の言葉が述べ終わる前に、エリスの高揚(こうよう)とした声が座敷牢の中に反響したのは、数分も経たぬ内であった。






「なら早速行きましょ!」








終わり←伍。



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月華 - 七海ちゃん、ごめんね。こちらにメッセージします。事情により、明後日まで来れません。明後日になったら必ず来るので、待っててください。 (2021年1月18日 13時) (レス) id: cbd5fcf97e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:晴幸 | 作成日時:2020年9月17日 11時

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