snow white (inoo kei)

04 ページ36

・




「ハッ、ふ…ん、んぅ…」




自分を拒絶するかのように
頑なに閉じていたその場所は
やがてほぐれていきました

それは身体だけの反応でしたが
圭人はその事に喜びを感じます




心がもらえるなんて思ってない

僕を受け入れてくれるだけで十分だ…




ぐちゅりと引き抜いた指に絡む蜜を
猛りきった自身に塗りつけたあと

それを押し当てると
お妃さまはキリッと歯を食い縛ります




「涼介…」




ここまでしても、なお拒絶の色は深く
それが王さまへの愛ゆえだと思えば
圭人は泣きたくなります

それでも欲しくて
どうしても欲しくて動こうとしたとき
お妃さまの声が彼の耳を打ちました




「圭人、やめろ。
俺はお前まで憎みたくないッ…！」




懇願ではなく、命令

そう聞こえた声に顔をあげると
お妃さまのブルーグレーの瞳は
まるで宝玉のように燃えています




「いのちゃんだけで十分だ。
大切な人を二人も憎んだら
俺はこの先、生きていけないッ…！」


「涼介…」




なぜ、ここまで…

悲しい疑問は胸をつき
言葉となって溢れます




「僕に抱かれるのがそんなにイヤ？」




情けない質問だと
自分でも思いました

奪う立場の癖に
僕はまだ、涼介に許されたいと願っている…




「キミは今夜を忘れていいんだ。
僕にひとつ、思い出をくれるだけで…」


「忘れられるわけっ、ないだろッ！」




彼の呟きに答えたのは
お妃さまの絶叫でした




「初めての夜を…
生まれて初めての相手を忘れるなんて…！
できるわけないだろ！馬鹿やろぉっ！！」





初めての…夜…？




肩で息をしながら
自分を睨み付けるお妃さまを
圭人は呆然と見下ろすことしかできません




うそ…だろ…？

まさかあの噂…
本当だったのか…？









・

ささやかれた真実　→←03

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す