JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ ６〜

バイト仲間の山田くんと　6/21更新 ページ10

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　時は夜。
　場所はバイト先のカフェの倉庫。

　夏休みになってお店が忙しくなる前にきちんと片付けておこう、って話になって、埃まみれで頑張ってるあたしと山田くん。



「おーい、そろそろ閉めるぞ。お前らも今日はあがれ。」



　倉庫に顔を見せた店長が声をかけてくれて、だけどあたしはビミョーな気分。

　二人で黙々と頑張ったせいで倉庫の中はずいぶんすっきりした。
　ここで切り上げて明日また続きをするより、あとひと踏ん張りして終わらせちゃいたいな…



「店長、良かったら先にあがってください。もう少しで片付きそうなんで、俺やってから帰りますから。」
　
「いや高校生にそこまでさせるのは悪くないか？」

「平気です。途中でやめると気になるタチなんで…あ、でも残業代は弾んでくださいね。」

「わかった。頼むよ。」



　頷いた店長があたしに向かって「そっちはどうする？」って聞いてくるから「あたしも残ります」って答えた。

　片付けちゃいたかったのは本当だし、密かなコイゴコロを抱いてる山田くんと二人きりとか…このシチュは逃せないでしょ。



「Aさん、俺のこと気にしてるならいいですよ。帰り遅くなると危ないし。」

「べ、別に山田くんのこと気になってるとかじゃなくて、やるならとことんやりたいだけだよ。」

「あは、俺たち似てるんですね。そしたら帰りは送りますから、頑張っちゃいましょう。」

「〜〜〜うんっ。」



　やだどうしよう嬉しい。
　“俺たち似てるんですね”とか、あたしだってそう思ってたけど彼から聞くとすごぉく嬉しい。
　しかも“帰りは送ります”とか、夢みたい。

　高校生の彼からしたら３つも歳上の女子大生なんてババァだろうし恋が実るなんて高望みはしてないけど、でも二人っきりで歩いて帰れるとかすごい！




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