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嬉しくってウキウキで、その勢いで片付けはどんどん進んだ。
倉庫からは色んなものが発掘されて、懐かしいものも出てくる。
「わ、これあたしがバイト始めた頃に使ってたカップだよ。懐かしー。」
「そっか、Aさんってリニューアルの前からここにいるんですよね。」
「うん、今年で5年、かな?来年卒業だからそれまではいるんだろうな。」
「えー?まさか他に就職する気ですか?ここの生き字引のAさんが居なくなったら困りますよー。」
「生き字引とか言うー?年寄り扱いしてっ、もうっ。」
「そ、そんなつもりじゃ…ってAさん笑ってるしっ!」
だって山田くんと二人きりでこんなに話ができて、楽しくて自然に笑顔になっちゃうんだもん。
なんて、言えないけど。
「おわっ、これ去年の残りじゃないっすか?」
段ボールを開けた山田くんが、中身を引っ張り出して苦笑いする。
「こんなとこ置いてあるからシケちゃって色変わってますよ。勿体ない。」
「ん?なになに?」
見てみると、それは去年みんなでやった花火の残りだった。
夏休みが終わる直前の日曜日で殺人的な忙しさだった一日を終えて、その時の変なテンションで大騒ぎしたっけな。
「あの時Aさん、いっちばんはしゃいでましたよね。」
「失礼ね、いっちばん、じゃないわよ。」
「いや一番でした。子供みたいで可愛かったからよく覚えてます。」
「か、かわいいって…」
山田くんが言ってるのは、あたしが子供っぽかった…って意味なのはわかってる。
でもかわいいとか言われたらテレるぅ…
「そう言えば、残ったやつから線香花火だけ持って帰ってましたね。」
「あ、うん。好きなのにあの時できなかったから。」
そんなことまで覚えててくれたんだ。
山田くんって仕事もできる上に気配りもできて“仕事仲間”として満点だけど、さらに目配りまでできるんだね。
「帰ってからひとりでやったんですか?」
「まさか。ひとりでなんて寂しすぎるじゃん。」
友達としたよ、って答えたら、山田くんは笑いながら“そうですか”って返事をする。
ニッコリ笑うその顔も素敵だな…なんて幸せになってるうちに片付けは終わった。
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マリナ(プロフ) - ぶっきらぼうでも不器用でも実は彼女の事大好きな薮くんの感じがもう最高で鼻血出ます!リアルに想像できるらなさんの天才すぎる物語が大好きです! (2019年10月25日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
Nayu(プロフ) - 初らなさんがsnow whiteな私です。ここ数日で色々ならなさんのお話にどっぷりハマってます。個人的にはMyDiamondの高木さんが尊い…です。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: dde7df5103 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - らなさんのお話久しぶりに読んでとてもキュンキュンしました!! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 2fc616a0db (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» ありがとうございます。今回は伊野尾くんにそっくりないとこ、ってことで、普段ならしない言葉を使ったりする慧にぃを書けて楽しかったです。また次も楽しんでもらえるといいな、です。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました!凄く良かったです(^^)この2人のその後の話しも是非読みたいと思いました(^-^)特にベッドドンの所がキュンとしました(^^)また楽しみにお話し待っています(^-^) (2019年10月13日 15時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2019年6月18日 19時