JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ ６〜

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　片付けが一通り終わって、手を洗って荷物をまとめて帰り道。

　お店の近くの駅まで送ってもらえるんだと思ってたのに彼は電車に乗ってもバイバイって言わなくて、あたしも言えなくて…

　気付けばもう、あたしの家のすぐ近く。



「Aさんすいません。ちょっとコンビニ寄っていいですか？」

「え、かまわないけど…もうすぐウチだからここまででいいよ？」

「いえ、約束したんだからちゃんとお宅まで送ります。」



　だから待っててくださいね、って、山田くんはコンビニに入ってく。

　こうまで言われたら…って言うか送ってくれるって言ってくれてるのを断るなんて勿体なくてできないから、彼が買い物をしてるのを店の外から眺めて待つこと５分。



「お待たせしてすいません。」



　出てきた彼は大きめのコンビニ袋を下げていて、少しだけニヤニヤしてる、



「いいもの見つけたんで寄り道していきません？」

「え？いいものってなーに？」

「これです。Aさんの大好きなやつ。」



　ガサッと広げて見せてくれた袋の中身は、なんと花火セット。

　びっくりして、でも嬉しい。



「なによぉ。あたしのこと子供みたいとか言ってたけど、こんなの買っちゃう山田くんのが子供じゃない。」

「お？そんなこと言っちゃいます？頑張った先輩にご褒美あげようとしてわざわざ買ってきたのに。」

「ホントにぃ？実は自分がしたかっただけだったりして。」

「ふふ。バレました？実はさっきのシケた花火見たらどーしてもやりたくて。」

「バレバレだよ。ふふふふっ。じゃあ頑張ってお片付けしたどうし、ご褒美花火大会しよっか。」



　あー、あたしもぉこの夏の思い出これでいいや。

　二人きりで花火ができるんだもん。
　失恋確定でも十分だよぉ。





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