※ ページ39
・
ほけー、っと過去の思い出を振り返っていたら、慧にぃが部屋を出ていこうとしてるのに気が付いた。
でもこのまま帰られたらあたし、困るんですけどっ!?
「慧にぃ!待って!」
ピタッと足を止めてはくれたけど、振り向きもしない。
でも髪の毛の隙間から見えてる耳が赤いのに気づいて、そしたらじわぁって嬉しくなった。
「慧にぃ…」
「なんだよっ。」
ぶっきらぼうな口調はアイドルとは程遠い。
コノヒトはアイドルじゃなくて、あたしの大好きないとこのお兄ちゃん。
「こっち向いてよ、慧にぃ。」
一瞬だけ肩を揺らして、それからゆっくり振り返る。
「なんでんな…ニヤニヤしてんだよ…」
ああ真っ赤だぁ…
かわいいなぁ…
「あたし、初ちゅーは好きな人としたいの。」
「___わかってるよ。伊野尾とだろ。」
違うよ、って左右に頭を動かした。
だってあたしが好きなのは…
「いのちゃんのモノマネしてる慧にぃじゃイヤなの。ホンモノの…」
「アイドルの、伊野尾な。」
ヤケクソみたいに呟いた慧にぃに近づいて、ギュッてしてみた。
気づくかな?
「おま…なにして…」
「なにって…ふふ、わかんない?」
じっと見つめてから目を閉じた。
これでわかるよね?
「俺は…伊野尾じゃないぞ…」
「うん、知ってる。」
「ならなんで…」
やだ、慧にぃったらそんなにニブいの?
それともあたしとおんなじで、びっくりしてるのかな?
「初ちゅー、慧にぃとしたいの……ホンモノの、あたしの好きなヒトと…」
ドキドキしながら薄目を開けると、慧にぃはあっちこっちに目線をやってオロオロしてる。
なによぉ、さっきはあんなに積極的だったくせに。
「え〜っと…初ちゅー、だけ…?」
「えっ?そ、それは…」
もちろんその先だって慧にぃと…って思うけど、まだ早いよーな気もする…
悩んでいたら、大きな手のひらがあたしのほっぺを包んだ。
「ま、そっちは追々な。とりあえず受験終わってから。」
「なにそれ色気な…ぁ、ん…」
唇が重なって柔らかい。
でもちょっぴりカサついて、アイドルいのちゃんのお口とは(想像だけど)違うんだな、って思ったりする。
「おい?なんか余計なこと考えてる?」
「いーえ、別にぃ。」
笑ったあたしに慧にぃは、でこぴんならぬでこちゅーをくれたのでした♡
・
192人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マリナ(プロフ) - ぶっきらぼうでも不器用でも実は彼女の事大好きな薮くんの感じがもう最高で鼻血出ます!リアルに想像できるらなさんの天才すぎる物語が大好きです! (2019年10月25日 4時) (レス) id: bbedea094b (このIDを非表示/違反報告)
Nayu(プロフ) - 初らなさんがsnow whiteな私です。ここ数日で色々ならなさんのお話にどっぷりハマってます。個人的にはMyDiamondの高木さんが尊い…です。 (2019年10月14日 1時) (レス) id: dde7df5103 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - らなさんのお話久しぶりに読んでとてもキュンキュンしました!! (2019年10月14日 0時) (レス) id: 2fc616a0db (このIDを非表示/違反報告)
らな(プロフ) - shootingstarhapさん» ありがとうございます。今回は伊野尾くんにそっくりないとこ、ってことで、普段ならしない言葉を使ったりする慧にぃを書けて楽しかったです。また次も楽しんでもらえるといいな、です。 (2019年10月14日 0時) (レス) id: b35b5df26e (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 読みました!凄く良かったです(^^)この2人のその後の話しも是非読みたいと思いました(^-^)特にベッドドンの所がキュンとしました(^^)また楽しみにお話し待っています(^-^) (2019年10月13日 15時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/isut/ano/
作成日時:2019年6月18日 19時