JUMP短編集〜十人十色の恋レシピ 5〜

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そんなことがあってから二週間



先月の会計監査も終わって
ホッと一息ついてたその日

あたしのもとに、一本の電話がかかってきた






『仕事中に悪ぃな。
昼休み、ちっと出てこれるか？』






大好きなカレからの誘いだもん
断るなんてできっこない

ちょうど暇になってることだし…って
半休もらったあたしは会社を飛び出した









「宏太！」


「よ。」





片手をあげて笑顔のカレは
グラビアから抜け出たモデルさんみたい

細身で長身で顔まで整ってて
しかも服のセンスもいいんだから当然よね





あー、回りの女の子の視線が痛い！

へっへー！うらやましーだろっ！





幸せ気分で腰をおろすと
いきなり手首を掴まれた





「え？なに？」


「よしよし、なんも着けてねーな。」





あたしの手を開かせてニンマリしたあと
宏太はポケットをゴソゴソ探る

そして取り出したそれを
あたしの指に…






「うしっ！サイズもぴったりだ。」





満足げに笑ってるけど
これって…






「“ロイヤルブルームーンストーン”だとよ。
こないだの店で見つけたんだ。」


「こ、宏太…？」


「ん？お前の一番好きな石だぜ？
うれしくねーのか？」


「だって…これ…」





限りなく透き通った石の真ん中に
ゆらゆら煌めく青い焔

同じ“月長石(ムーンストーン)”って名前だけど
この輝きを持つものは
乳白色のそれとは比較にならないほど希少な…





「ちなみに…
この指にはめた意味はわかるか？」


「わ、わかる…よ…」





左手の薬指に指輪のプレゼント

これの意味がわからない女の子なんて
この世にひとりだっていないはず





「んじゃ泣いてねーで返事聞かせろ。」





優しい瞳で笑ったカレに
あたしは大きくうなずいた





・



END



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《宏太くんより一言》



ダイヤでもルビーでも買ってやるのに
“月長石(ムーンストーン)”なんて言うもんだから苦労したぜ

だって買おうと思ったら
予算の１割にもなんねーんだからよ…



あ？
そんなの値段じゃない？



ざっけんな

俺のたったひとりのオンナに贈る指輪が
そんなに安くて許せるか




だってよ

テメーは俺にとって
世界で一番デカいダイヤモンドより
ずっとずっと価値のある…




ってアホ！
こんなん言わせるんじゃねぇ！



…恥ずいだろが！バーカ！






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