余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ40)

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『……っ、』

＿本当に、これで良かったのだろうか。

いつの間にか一人になった少女は、顔を埋めたまま、小さく息をついた。

そしておもむろに、昔観た、今でも忘れられない、ある"試合"を思い出す。

"……っ、お母さん、あの人！"

"すごい、いっけー！"

＿サッカーがあんなに楽しくて、胸が熱くなるものだなんて、その時まで知らなかった。

泥臭く汗を流して、見ているだけでもくたびれそうなくらいに走っているというのに、広いフィールドの中で、その姿はとても輝いて見えた。

＿何度、何度つまずいても、抜かされても、それでも走る。

それを、教えてくれたのは。

『……っ、』

＿いや、やめよう。
これで良いんだ。

これで、全部元に戻る。

楽になれる＿

少女は自分に言い聞かせて、静かに目を閉じた。

.

.

.

一方、イナズマジャパンの宿舎では＿

「……。」

夜も10時を過ぎたというのに、宿舎内のミーティングにはイナズマジャパンのメンバー全員が集まっていた。

しかし誰一人として口を開くことは無く、表情は暗い。

ただ不安と困惑が混ざり合ったような、そんな緊張した空気が流れ続け、皆どこか落ち着きがないように視線を揺らし、監督が扉を開ければ全員の視線が集中した。

「さて、全員揃いましたかネ」

「はい」

飄々と辺りを見回して監督が問えば、キャプテンとして前に座る円堂は硬い面持ちで頷く。

そしてそれを合図に、その場にいる全員の意識が監督に向けられた。

「……。」

＿さて、これからこの場で話されるのは言うまでもなく、謎のマネージャー、源Aのことである。

突如倒れたAを病院に付き添い、その後結局、監督一行が宿舎に帰ったのは9時を過ぎたところだった。

スポーツ選手ならば、寝不足は一番避けるべき行為である。
そのため本来ならば、皆へ事実を伝えるのは明日にする予定だったが……皆がそれで納得しなかったのは、言うまでもない。

「……っ、監督、Aさんはっ、」

監督が口を開くそれより前、最初に沈黙を破ったのは一星光だった。

引き攣った形相で、その手は微かに震えている。

すると、他の皆も堰を切ったように声を上げた。

「一体どういうことなんだよ」

「大丈夫なんですか！？」

「監督！」

＿皆、突然の事態に相当混乱していた。

監督は次々と飛ぶ質問にただ耳を貸し、皆が静かになったところで、口を開いた。

「源Aさんについてですが……」