余命半年のマネージャーstage４〈イナズマイレブンオリオンの刻印〉 (ページ34)

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風丸side

「余命、半年……」

信じられない、そういわんばかりの円堂の声が、静かな部屋に反響した。

＿源のお母さんから伝えられたのは、信じ難く、そしてあまりにも残酷すぎる真実。

「っ、そんな、」

野坂はそう一言呟くと、その端正な顔を歪め、何かに苦しむように視線を伏せる。

そして俺はといえば、正直、円堂の言葉を聞くその瞬間まで源のお母さんが何を言っているのか分からなかったほどに、頭が混乱していた。

(……余命半年。それって、源がってことか……？)

俺はその言葉を口に出すことはなく、ただ行き場のない視線を忙しなく移動させる。

様子を見ていれば、どうやら監督とコーチはそのことを知っていたようで。
ちょうどそれについて円堂が問えば、源のお母さんは頷き、言葉を続けた。

「ついこの前、そう診断されました。だからこそ、マネージャーになるというのも本人きっての希望でして……監督と、コーチに無理をお願いして……」

「……っ、」

……まさかでも、余命が半年なんて。

俺は両手の拳をきつく握りしめ、思わず顔を伏せる。

"風丸さん！"

(だって……ありえないだろ。だって、だって源は、あんなに……。)

"風丸さんは凄いですよ！"

"はは、すみません……ちょっと、こわい夢、みちゃって"

(……あんなに、いつも明るくて、元気で……、)

"私も、そこに居場所が欲しい。みんなとそこで笑っていたいって"

(元気で……)

"許せないんです、わたしが"

「……っ」

＿いや、それは違う。

今考えれば、源は確かに俺にサインを出していたのかもしれない。
恐らくそれは無意識で、でも、きっと……

"試合が終わったら、話さなくちゃいけない事が、あるんです"

「……っ、そうか、」

誰にも聞こえないような声で、俺は思わずそう呟いた。

きっと源は、俺に話そうとしていた。助けを求めていたんだ。
でも……どうして、気づいてやれなかったんだろう。

「……っ、」

恐らく、源はあまりにも平穏を装うのが上手かったのだ。

それはあの野坂でさえ気づくことができなかったほどで、でも、その心の奥では＿

あの眩しい笑顔の向こう側に、源はあまりにも大きなものを背負っていた。

(……でもさ、そうだよな、源)

けれど、どうして言ってくれなかったのか、そんなことは俺には言えない。

……気持ちはなんとなく分かる。

だって、もし同じ状況だったら、俺だって源と同じことをしたと思うんだ。