第609訓 液体石鹸は最後の一滴まで余すことなく使い切るべし ページ3
私は土方さんの質問に素直に答えただけだ。あからさまにため息をつかれるいわれはない。
土「帰ってきたらまず、手洗いうがいだろーが。」
「ちょっとやめてくださいよ。帰って早々そんなこと言われるなんて、まるで私が幼稚園児みたいじゃないですか。」
土「お前が自分からしようとしないからだろ。幼稚園児でも出来るわ。」
「うわ今のめっちゃウザごめんなさいしますしますちゃんとしますからお願いだからそこ掴んで引っ張るのやめて!!」
まったく土方さんは。自分の気に入らないことがあるとすぐ人の首根っこ掴んで引きずるんだから。こんな乱暴な子に育てた覚えはないわよ。
とかなんとか思ってるうちに結局洗面所まで引きずられた。途中すれ違う隊士達に助けを求めるも、皆苦笑いするだけ。クソ、裏切り者め。
土「ほら、腕まくって、きちんと肘まで洗えよ。」
「めんどくさーい。」
土「わがまま言うな。」
くどくどくどくど言いながら土方さんは私の隊服の袖を肘上までまくっていく。袖が落ちてこないことを確認して、とりあえず手を水で濡らした。
「さーて、石鹸はーと。あれ?土方さーん。石鹸もうないよーカラカラ。」
洗面所に常備してあるキ〇イキ〇イのボトルがすっかりすっからかんになってしまっていた。これでは手洗いは出来まい。
土「ん?本当だな。確か詰め替え用があったはずだから、持ってくる。待ってろ。」
「はーい」と返事をし、一度濡らしてしまった腕をプラプラさせながら待つことに。土方さんは一度洗面所から出て行こうとしたが、「あ、」と何かを思い出したかのようにこちらに戻ってきた。
土「葵、先にうがいしとけ。ほらよ。」
そう言って渡されたのは私のピンクのコップと、
「……イソチン?」
土「そのうがい薬と水を混ぜて三回しっかりうがいしろ。間違っても捨てたりなんかってオイィィィィ!!!言ってる側から捨てんじゃねェェェェ!!!」
私はうがい薬の入れ物のキャップを外して中身を捨てようと試みたが、呆気なく土方さんに阻止された。だって、なんか、嫌じゃん。イソチンて。これでうがいすんの?イソチンでうがいすんの?やだよ私は。なんか汚い気がする。
土「何もったいねぇことしてんだ!!いいか、ちゃんとしっかりうがいしろよ!!したフリして捨てたって俺の目は誤魔化せねーぞ!!」
「はいはい。」
土「はいは一回!!」
「はーーーーーーーー」
土「長ェ!!」
第610訓 紙も仏も、いや髪も仏も、いや神も仏も無いものだ。→←第608訓 帰れる家があることだけで幸せ
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らり - 土方さんと葵ちゃんのコント感というか親子感いいですね!!続き読みたいです! (2021年6月12日 18時) (レス) id: ff227012bf (このIDを非表示/違反報告)
パピポ - リクエストお願いしてもいいですか?葵ちゃんと高杉の絡みをもっと見たいです!! (2020年10月20日 16時) (レス) id: e8120e490b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 空川雲さん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです!!不定期更新になるかと思われますが、これからも何卒よろしくお願いいたします!!! (2020年4月22日 10時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
空川雲 - このシリーズ大好きです。これからも更新頑張ってください。応援しています! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 2b5959080e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 勇者の人さん» コメントありがとうございます!!お待たせしました!!親子感いいですよね!銀さんと神楽ちゃんの感じも好きです!ありがとうございます!!頑張りますので、これからも応援よろしくお願いいたします!!! (2020年4月16日 9時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナナ | 作成日時:2020年4月16日 3時