第197訓 おふくろさんは大事にしとけ ページ24
山崎ナレーター
ハ『おふくろ、調子はどう?』
近「ああ、大分良くなったよ。もうそろそろ退院出来るってさ。それよりあんた、」
「そのケガどうしたんだい?」という近…じゃなくて、おふくろさんの質問に肩を跳ね上げるハンコ・オッキィ。
ハンコ・オッキィは、体のいたるところに傷や痣があった。これは、チームを抜けると言ってボスとその仲間にやられた、「制裁」のようなものだった。
だが本当のことなど言えるはずもなく、ハンコ・オッキィは、「転んだ」と答えた。しかしそんなあからさまな嘘、見破られないはずもない。ハンコ・オッキィはおふくろさんに問い詰められる覚悟をしたが、返ってきたのは、「嘘だろう」などという言葉ではなく、むしろ笑い声だった。
近「そーか。どーせそんなことだろうと思ったよ。あんた昔から鈍臭いからね。気を付けなよ。」
ハンコ・オッキィは一瞬戸惑ったが、その後すぐ、『うん』とだけ答えておいた。おふくろさんのさりげない優しさに、喉が詰まった感じがして、声が出なかったからだ。
だが何とか声を絞り出して、彼は一言だけこう告げた。
ハ『ごめん。』
彼の口からは、それ以上出てこなかった。どう言葉にすればいいのか分からなかった。もっと言いたいことは沢山あるのに、それが中々出てこない。そんな彼におふくろさんは言った。
近「何がだい?」
ハ『何がって…その、色々と迷惑かけて、おふくろが倒れたのも、俺のせいだし…』
そんなハンコ・オッキィの言葉ですらも、おふくろさんは笑って受け止め、こう言った。
近「確かに、あんたには迷惑いっぱいかけられた。今回倒れたのも、あんたのために働き過ぎたのが原因だしね。」
ハ『………。』
近「だけどね、あたしはあんたを恨んでなんかないよ。むしろ感謝してる。」
そう言ってハンコ・オッキィの頬に触れるおふくろさんの手は冷たく、顔は、まさに母の顔だった。
近「こんなにあんたを心配するのも、こんなに仕事を頑張れるのも、全部あんたが大事だからさ。仕事だって辛い時もある。だけど、あんたのことを想うと、もっと頑張りたいって思うんだ。
その気持ちにちょっと体がついて行かなくなっちまっただけだよ。
あんたはあたしにとってかけがえのない存在だ。
生まれてきてくれて、ありがとう。」
ハ『お、おふくろぉ。…っ、俺の方こそ、いづも、うぅ…ありがどう!』
ハンコ・オッキィは、おふくろさんの手を握り、泣き続けた。
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パーピー - 凄い面白いです‼︎葵ちゃんが女の子の日とか見てみたいです‼️ (2022年3月14日 1時) (レス) @page2 id: f9a1a17fc3 (このIDを非表示/違反報告)
パピポ - 面白かったです!!何でこんなに面白いのが書けるのか、、、凄いですね!!これからも応援してます!!! (2020年10月19日 22時) (レス) id: e8120e490b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 初さん» コメントありがとうございます!真選組一家は私も好きで、続編書きたいなと思っておりました!ぜひ書かせていただきます!!! (2018年1月21日 14時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
初 - いつも面白い!真選組一家面白い!続編書いてくれると光栄です! (2018年1月19日 10時) (レス) id: d264f6d83a (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 闇の幼馴染みさん» (・・?)すみませんが、どの長谷川さんの話でしょうか? (2017年9月25日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナ | 作成日時:2017年7月9日 23時