第112訓 事実を言われるのが一番ムカつく ページ26
トイレから出ると、そこに居たのは。
「高杉。」
煙管をふかして、高杉が壁に寄りかかって立っていた。
高「よお、済んだか?」
「なに、ずっと待ってたの?ストーカー?」
高「ククッ、本当に面白ぇ野郎だ。」
「野郎じゃないけどね。」
高杉は煙を吸って吐き出すという動作をもう一度繰り返す。そして、私の右隣から正面へ移動して来た。
「ねえ、船戻してくんない?」
高「いいぜ。」
「え、いいの?」
まさかこんなにも簡単にOKしてもらえるとは思っていなかった。あっさりと承諾した高杉に呆気にとられている私の目の前で、そいつは何でもないかのようにまた煙管をふかしている。
不思議だ。
土方さんのタバコの匂いは、なんか体に害がある気がして近くにいるのも嫌なのに、高杉の吸っているこの匂いは、そんなに嫌でもない。
気づけば、口から煙を出す高杉の姿を、じっと見つめていた。
高「吸ってみるか?」
「え? いやっ、いい。」
高「ククッ、冗談だ。ガキにはまだ早ぇーよ。」
『ガキ』という言葉に少しムっとする。なんだよ、どいつもこいつも子供扱いしやがって。
というか、早く戻りたい。いつまでもここでこうしているのも嫌なので、退いてくれ、と高杉に言おうと思い、口を開こうとしたその時。
「っ!」
高杉は、煙管を持っていない方の手で、そっと私の頰に触れた。
少し冷たいそれは、大きくてゴツゴツしていて、私のとはだいぶ違う。
高「もし俺が、一番にお前を見つけていたら、お前はこっち側だったかもしれねぇなァ。」
「………。」
私は、そう言って微笑む高杉に、無言で取り出した手錠をチラつかせた。
「この船にはロリコンが二人もいるの?」
高「フンッ、やっぱりまだガキか。」
「いちいちガキガキ言うんじゃねぇよムカつくな。」
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パピポ - 3人の絡みが見れた!!!最高です!!ありがとうございました!!! (2020年10月19日 22時) (レス) id: e8120e490b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - ペンペン草さん» コメントありがとうございます!そんなこと言っていただけて感激です!!すごく励みになります!これからも頑張りますので何卒よろしくお願いいたします!!! (2020年5月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
ペンペン草 - やばいです!!絵、お上手でお話も最高です!!! (2020年5月16日 14時) (レス) id: 97f71150c2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 紅蝶さん» 本当ですか!?嬉しいお言葉ありがとうございます(≧∀≦)その言葉をバネにこれからも頑張りたいと思います!!! (2017年9月22日 20時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
紅蝶 - 面白過ぎです (2017年9月22日 19時) (レス) id: 306794bfc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナ | 作成日時:2017年5月7日 14時