. ページ19
「近づかないで……!」
一定の距離を保っていたのに、彼の変なスイッチを押してしまったのか、彼は目を凶変させ先程の妙に爽やかな笑顔とは程違い、目をかっと開き真顔でジリジリと近づいてくる。
後退りをしても彼は止めることも無くどんどん近づいてきて
「今から帰ろう」
「……来ないで」
「僕の家に帰ろう」
「なにいってるの?」
「もう逃がさないよ」
「……やめてっ」
その瞬間私は足元の石に気づかず見事に転けた。後ろ向きで歩くのは困難を極めるらしい。
彼はその瞬間を狙っていたかと言わんばかりに頬を強く引っ張り唇を押し付けてきた。それでも満足がいかないのか抵抗する手を壁に押さえつけ唇をねじ込み中をかき乱すかのように唇を落とす。
もう私は涙も出なかった。
嗚呼私はこうやってされた後に彼の所に連れていかれるんだ。ただの詐欺師だった癖にこうやって私に執着し続ける彼の所に連れていかれるんだ。
いっその事もうそれでもいいのかもしれない。
こうやって彼に真っ黒に染められたらもう彼らには会えない。いや、それ以前に会わせてくれないだろう。
彼らに会わなければきっと今みたいな辛さは生まれない。彼らの事でこんなに悩むことも無くなる。この虚しさも。
でも嫌だな。そしたら彼らは私の事なんかもう綺麗さっぱりと忘れてきっともっと大きくなって綺麗な人と素敵な人と結婚とかするのかな。
嫌だな。私ってなんでこんなに我儘なんだろう。
彼らといると疲れるし面倒くさいし忙しいし大変だけど楽しかった。
マネージャーという初めてで何も分からない事だらけの仕事がこんなに楽しめたのはやっぱり彼らのおかげだった。毎日がキラキラしていて、あの時の葉月が言っていたこと何となくわかってきていたのだ。
私、最高潮に輝いていたんだ。
それを此奴に全部奪われるなんてやっぱり嫌だ。私はまだ彼らの傍で働きたい。それがたとえ今度のライブまでだとしても。次のグループにつくとしても。私は最後まで彼らを全力でサポートしていきたい。それが私の仕事だから。それが私の今したいことだから。
___
なんとなんとお星様が赤くなってました不定期更新にもかかわらずいつも評価ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!
491人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
R−アル−(プロフ) - …………?!!?!続きめっっっちゃくちゃ気になります……!終わりになってしまっているのですが更新停止という事……ですかね?復活待ってます!!! (1月3日 2時) (レス) @page21 id: 8b5171215e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2022年1月27日 5時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
歌い手厨兼ボカロ廃(プロフ) - できるだけ笑って(口だけ)言うと近ずかなくなりそう← (2020年9月6日 0時) (レス) id: 93805e8747 (このIDを非表示/違反報告)
歌い手厨兼ボカロ廃(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!私が夢主ちゃんだったらこう言うかな、『私ね、興味のない人から貰う愛って世界一気持ち悪いの、だからまだ《愛している》なら私のために二度と関わらないで?もし関わったら警察呼ぶから。』って (2020年9月6日 0時) (レス) id: 93805e8747 (このIDを非表示/違反報告)
みほろ(プロフ) - nes_nes_nes_nesさん» ありがとうございます!頑張ります!最後まで楽しんでいただけると嬉しいです!! (2020年9月3日 21時) (レス) id: a8f528f825 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みほろ | 作成日時:2020年7月16日 21時