問32 ページ41
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「…結局二人して遅刻しちまって、ソイツは生まれて初めて先公から説教食らったそうでさァ」
青年がそう言って締めくくると、ベッドに横たわっていた女性がくすりと笑った。
「頑固な娘なのねぇ…苦労するわね、そーちゃん」
「…俺ァ別に――――」
「そーちゃんは好きになっちゃったんでしょう?そんな、誰にも甘えられない女の子を」
「……」
女性はベッドから白い手を伸ばし―――彼の手の甲にそっと重ねた。
「頑固なのはあなたも同じなのよ。…ねぇ、」
「―――そーちゃんはどうして、その娘を助けたいと思ったの?」
ギュッ、と白い手に力が籠る。
「…ただ、見てられなかったんでさァ」
―――アイツが、寂しげだったから。
そう語る弟の顔を、女性は物言わず見つめていた。
窓際の花瓶に差された白百合が、外の闇と対照的だった。
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キサク(プロフ) - stereogirlさん» stereogirlさん、またお会いできて光栄です!苦心しましたが、喜んで頂けたならよかった!綾戸は元々ちょっと面倒臭い子ですので、付き合って初めて発覚する一面ですね(笑)私も、この二人はまたいつか書けたらいいなぁと思っています。ご愛読ありがとうございました! (2020年5月18日 20時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - わーい、後日談ありがとうございます!一致後の夢主、ちょっと可愛くなりましたね!笑。また二人の進路にお会いできたら嬉しいです。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
キサク(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます!そうですね、まだ六個程話の空き枠があるので、是非書いてみようと思います!少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです、改めてありがとうございました! (2020年5月7日 7時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 面白かったです!可能なら、利害が一致した二人の今後も読みたいなぁ、と思います! (2020年5月7日 2時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリコ | 作成日時:2020年3月31日 12時