過去問 ページ39
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―――て――――きて―――――
「起きてください、沖田くん！」
馬鹿デカい声がした。
沖田が顔を上げると、不機嫌ヅラの綾戸が教科書ノートを抱えていた。見渡すとそこは教室のようだが、人っ子一人姿が見えない。
「次は移動教室ですよ。あと３分です、急いで」
有無を言わせず教科書ノートを持たせ、教室の出口に走ると―――沖田が動かないのに気づき、綾戸は怪訝そうな顔で振り向いた。
「あの…？」
「―――てめェ、何で先行かなかった」
責める風でもなく、淡々と沖田は問う。先日の女子達が話していたように、『教師からの評価が上がる』など、分かりやすいメリットを挙げてくれれば済む話だ。
しかし綾戸は、何故そんなことを訊かれるのか分からないとばかりに眉を顰めた。
「フツーに、沖田くんが寝てるのが見えて、あのままじゃ遅刻するだろうと思ったので…」
「ンなことばっかやってて、前のクラスで良いことありやしたかィ？」
「…！」
綾戸が目を見開く。その驚いた顔を見て、沖田は苛立ったように続ける。
「ちょっとは損得勘定で動けってんでィ。他人に足引っ張られた状態でやってける程、人生甘かねェだろ」
吐き捨てる。傷付けるのでもいい、少しでも自らの言葉が、このどうしようもなく純粋な少女に響くように。
―――この時沖田は初めて、いつも彼女に感じていた苛立ちが、彼女の幸せを案じてのものだったことに気が付いた。
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キサク(プロフ) - stereogirlさん» stereogirlさん、またお会いできて光栄です！苦心しましたが、喜んで頂けたならよかった！綾戸は元々ちょっと面倒臭い子ですので、付き合って初めて発覚する一面ですね（笑）私も、この二人はまたいつか書けたらいいなぁと思っています。ご愛読ありがとうございました！ (2020年5月18日 20時) (
レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - わーい、後日談ありがとうございます！一致後の夢主、ちょっと可愛くなりましたね！笑。また二人の進路にお会いできたら嬉しいです。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
キサク(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます！そうですね、まだ六個程話の空き枠があるので、是非書いてみようと思います！少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです、改めてありがとうございました！ (2020年5月7日 7時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 面白かったです！可能なら、利害が一致した二人の今後も読みたいなぁ、と思います！ (2020年5月7日 2時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリコ | 作成日時：2020年3月31日 12時
