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問31 ページ32



「遅れてすいやせん、姉上」

―――青年がカーテンの仕切りから姿を現すと、ベッドに横たわっていた女性が静かに目を開いた。彼女が身を起こそうと身じろぎしたのを認めると、彼は慌てて傍に行き、彼女の背をそっと起こす。

「そのままで良いっていつも言ってんのに」

「そんな訳にもいかないわ。せっかくそーちゃんが来てくれたんですもの」

ケホ、と咳を一つして、女性は安心させるように微笑む。

儚げな女性だった。体は細く、患者服から覗く腕の白さが目につく。それでも、こうして弟が来れば必ず笑顔で迎えるのだ。

「―――ねぇ、今日はどうして遅れたの?」

彼は躊躇している様子だったが、ややあって重く口を開いた。

「クラスメイトを、家まで送ってやした」

「それって、いつものあの娘?」

心なし楽しげになった姉の様子を感じつつ、「そいつでさァ」と気まずげに答える。

これがクラスメイト相手なら上手く煙に巻いたことだろう。しかし、幼少から親代わりとなってくれた姉が相手とあっては、分が悪いどころの話ではなかった。

「ね、どんな娘なの?」

「わざわざ姉上に語るほどのヤツじゃ……」

「あら、わざわざ私に秘密にするような娘なんでしょう?」

敵わない。内心で降参のポーズをとりつつ、彼は短い溜め息を吐いた。

「…言いやす。言いやすから、せめて横になってくだせェ」

背に添えられた手に体重を委ね、女性はゆっくりとベッドに倒れた。そうして彼は備え付けの丸椅子に掛け、とりとめもない昔話を彼女に語り始める。

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設定タグ:銀魂 , 3z , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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キサク(プロフ) - stereogirlさん» stereogirlさん、またお会いできて光栄です!苦心しましたが、喜んで頂けたならよかった!綾戸は元々ちょっと面倒臭い子ですので、付き合って初めて発覚する一面ですね(笑)私も、この二人はまたいつか書けたらいいなぁと思っています。ご愛読ありがとうございました! (2020年5月18日 20時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - わーい、後日談ありがとうございます!一致後の夢主、ちょっと可愛くなりましたね!笑。また二人の進路にお会いできたら嬉しいです。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
キサク(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます!そうですね、まだ六個程話の空き枠があるので、是非書いてみようと思います!少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです、改めてありがとうございました! (2020年5月7日 7時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 面白かったです!可能なら、利害が一致した二人の今後も読みたいなぁ、と思います! (2020年5月7日 2時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリコ | 作成日時:2020年3月31日 12時

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