問２４ ページ25
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「あ…あれです、あのマンションです」
前方に白いマンションが見えてくると、レジ袋を手に綾戸が言った。もう日も落ちかけ、薄暗い蒼が辺りを満たしている時刻だ。
「もう６時過ぎちゃいましたかね…沖田くん、夕ご飯間に合いそうですか？」
「俺ァもう長ェこと一人暮らしでさァ」
「えっ」
思わず立ち止まり、綾戸は沖田を見上げる。
「だって、お姉さんに、今日は遅くなるってメールで…」
言いかけて、綾戸は一つの違和感に気付く。
―――お姉さんに…？お母さんじゃなくて…？
通常、夕飯の支度をするのはその家の母親だ。メールの内容が『夕飯を遅らせて』だろうと『夕飯は先に食べていい』だろうと、それは母親に送るべきものだ。
沖田家では料理は姉が作るものだと仮定しても、沖田の『一人暮らし』という言葉とは矛盾している。
綾戸の胸中を察したように、澄まし顔で沖田は補足する。
「両親は昔死んで、姉ちゃんは二年前から入院中。…あのメールは、見舞いが遅くなるから土産は何が良いかって訊いただけでィ」
「じゃ、これから病院に行くんですか！？」
沖田の言っていた『いつも寄り道している駅』が病院のある駅だったことを理解し、突然の情報量に追いつけない綾戸。軽いショートを起こしつつも、持ち前の罪悪感だけはしっかり機能した。
「うわぁぁぁ……もう、本当に、お姉さんに申し訳がありません……沖田くんの口から謝っておいてもらえないでしょうか」
「姉上の前でてめェの名前なんか出せるか」
「えぇっ！そ、それはひどくないですか！？」
綾戸の抗議の声を背に「じゃ、戸締り忘れんじゃねぇぜ」と片手をヒラリと挙げ、沖田は駅の方角へ去ってゆく。
「…ッ！夜道気を付けてくださいね！」
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キサク(プロフ) - stereogirlさん» stereogirlさん、またお会いできて光栄です！苦心しましたが、喜んで頂けたならよかった！綾戸は元々ちょっと面倒臭い子ですので、付き合って初めて発覚する一面ですね（笑）私も、この二人はまたいつか書けたらいいなぁと思っています。ご愛読ありがとうございました！ (2020年5月18日 20時) (
レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - わーい、後日談ありがとうございます！一致後の夢主、ちょっと可愛くなりましたね！笑。また二人の進路にお会いできたら嬉しいです。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
キサク(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます！そうですね、まだ六個程話の空き枠があるので、是非書いてみようと思います！少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです、改めてありがとうございました！ (2020年5月7日 7時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 面白かったです！可能なら、利害が一致した二人の今後も読みたいなぁ、と思います！ (2020年5月7日 2時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリコ | 作成日時：2020年3月31日 12時
