問２１ ページ22
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「はぁ…」
放課後。下駄箱からローファーを取り出し、溜め息を一つ。
―――今朝は失敗したな。皆に心配させてしまった。
―――怖いからって、不安を分かち合って安心しようなんて最低だ。
目を伏せて、綾戸は静かに自己嫌悪する。
綾戸の家は母子家庭だ。小学生の頃両親の離婚が決定し、幼い彼女は母親に引き取られた。子供が受け止めるにはあまりにも重い出来事。どちらが子供を引き取るか、その話になった途端、自分をお荷物のように見下ろした両親の目を、綾戸は今でも覚えている。
手のかからない『いい子』でいなければと、強く思ったのはあのときだった。
―――母さんは社員旅行で当分帰らないし…あの電話、また掛かってきたらどうしよう。
志村のストーカー説を一度は否定したものの、綾戸にはその可能性を否定しきれない『心当たり』ができた。
今日一日、校内で感じた視線。お手洗いに廊下に出た時や、教室に残って日誌を書いている時―――いずれも一人の時を見計らって、何者かに見られている気配を感じていた。
「…」
ローファーを履き終え、タンタンと爪先を鳴らす。日直の仕事ですっかり帰りが遅れてしまった。暗くなる前に、早く帰宅して自分の部屋に籠ろう。
―――そうすれば、きっと怖くない。
自らに言い聞かせ、昇降口の外へ一歩踏み出す――――
「…おっせぇ」
目の前の人物は、見慣れた不機嫌ヅラで立っていた。
「電車賃、足りねぇのに気付いたんでィ。奢れ、綾戸」
―――一体、どれだけ待ったんですか。
声には出さずに苦笑して、綾戸は口を開く。いつも通り、お決まりとなった言葉を。
「じゃあ、一緒に帰りましょうか」
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キサク(プロフ) - stereogirlさん» stereogirlさん、またお会いできて光栄です！苦心しましたが、喜んで頂けたならよかった！綾戸は元々ちょっと面倒臭い子ですので、付き合って初めて発覚する一面ですね（笑）私も、この二人はまたいつか書けたらいいなぁと思っています。ご愛読ありがとうございました！ (2020年5月18日 20時) (
レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - わーい、後日談ありがとうございます！一致後の夢主、ちょっと可愛くなりましたね！笑。また二人の進路にお会いできたら嬉しいです。 (2020年5月18日 20時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
キサク(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます！そうですね、まだ六個程話の空き枠があるので、是非書いてみようと思います！少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです、改めてありがとうございました！ (2020年5月7日 7時) (レス) id: 8572571c50 (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 面白かったです！可能なら、利害が一致した二人の今後も読みたいなぁ、と思います！ (2020年5月7日 2時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キリコ | 作成日時：2020年3月31日 12時
