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優「…な、何言ってんだよ急に」
『…だって、この手紙、』



この手紙をまだ持っていてくれているなんて、思ってもいなかった。

私の中で、優太くんの存在がどれだけ特別でも、優太くんの中ではもう過去のことになっていると思ってたから。







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優「…捨てれるわけ、ないだろ」


静かになった部屋の空間で、優太くんがまるで独り言のように呟いた。



『…え、?』


顔を上げて優太くんを見れば、優太くんはとてつもなく苦しそうな顔をしてて。







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優「…戻ってきたら、あの時言えなかったAへの気持ち、ちゃんと伝えるつもりだった、」

優「…でも、もうAは廉のものだったから、



…今更、伝えても遅いよな、」






…そんな苦しいそうな顔しないでよ。

ずっとこの一年半優太くんのことを考えていたのは、忘れないでいたのは、私だけだと思っていた。



だからこそ、廉を選んだのに。





優太くんにそんなのこと言われたら、
私も、伝えてしまいたくなる。




…ほんとは、私もずっと優太くんのこと忘れられてないよ、好きだよって。







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『…優太くん、っ、』

優「…あ、廉帰ってくるんじゃね?もう少ししたら」





私が言おうとしたことを遮った優太くんは、窓の外を見つめて、そう言った。

言わせてくれなかったのは、たぶん優太くんの優しさ。







優「…ずっとあの頃から変わらず、好きだよ、Aのこと。

でも、廉のことも同じくらい大切だから。
…裏切るとか、できねぇよ。」






私の目を真っ直ぐ見つめてそう言った優太くんは、
私の背中をドアの方向にほいっ!と押した。






優「…廉なら、絶対幸せにしてくれるって!
俺、めちゃくちゃ応援してっかんな!」




そう笑いながら言った優太くんの顔に、嘘はなくて。

それが何故か余計に、苦しかった。






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ななせ(プロフ) - ななみさん» 嬉しいです!!これからもっと面白く出来るように頑張ります! (2020年4月18日 20時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読みはじめてから、どんどん話に引き込まれて、ここまで一気に読ませて頂きました。先が気になります!更新楽しみにお待ちしております。 (2020年4月18日 20時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - かほさん» 嬉しすぎます、、!これからもう少しだけ重くなる予感がするんですけどお楽しみにしていてください!笑 (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - ふーみんさん» 全話読んでくださってありがとうございます!これからもお楽しみに!(^ ^) (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 初めて読みましたが非常に面白いです!こういう重いの大好きです!(笑)これからも楽しみにしております〜〜 (2020年4月13日 17時) (レス) id: 43e673b672 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななせ | 作成日時:2020年2月8日 19時

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