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『…お邪魔しまーす、』
優「そんなかしこまんなって!昔はよく来てただろ!(笑)」
優太くんの家は昔よく来てたとは言えども、その時とはまた違う感覚で、どうしても緊張する。
でもあの家具の配置まだ変わってないな〜とか、昔と変わらないことに安心したりして。
優「俺の部屋覚えてる?お茶入れるから先行ってて」
『ありがと、…じゃあお邪魔します、』
"階段を上がって右の部屋。"
中学生の時に何度も訪れたあの部屋を忘れるわけがなかった。
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『…ふふっ、変わってないな』
優太くんの部屋のドアを開ければ、そこに広がるのは中学生の時に訪れていた時と変わらない部屋。
野球選手のユニホームが飾ってあって、青色のベッドがあって、部屋は優太くんの匂いがする。
…安心するな、この感じ。
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『…あれ、』
ふと、目に付いた机の上に飾ってある1枚の写真。
遠目から見ても、何だか見覚えのあるその感覚に目を惹かれて近づいた。
『…これ、中学生の時の、』
そこに飾ってあったのは、私と優太くんが中学生だった時に2人で行った遊園地の写真だった。
カメラに眩しい笑顔を向ける優太くんと、その隣でピースしている自分。
そしてその写真の横に貼られている1枚の紙。
そこには"優太くんへ"と書かれた、あの時の私からの手紙。
『…うそ、』
あの時の手紙を、まだ優太くんが持っていたなんて。
彼が引っ越す直前に渡した手紙。
"ずっと待ってる"。
そう私が一年半前に書いたその一言が、今になって、とてつもなく重く私に降りかかる。
ずっと待ってると言ったはずなのに、私は結局優太くんのいない寂しさに耐えられなくなって
…廉を選んでしまったんだ。
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優「Aお茶持ってきたんだけど…っ、あ!」
静かドアを開けて部屋に入った優太くんと目が合って、罰が悪そうに優太くんは顔を逸らした。
優「…ごめん、なんかいつまでも部屋に飾ってるとかキモイよな、ごめんな!」
私の手から写真を取ろうとする優太くんの顔があまりにも切なくて、
頭では分かっているのに、身体が上手く比例してくれない。
『…優太くん、まだ、…私のこと好きでいてくれてたの?』
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廉、ごめんなさい。
あなたのことを裏切ることになるかもしれない。
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ななせ(プロフ) - ななみさん» 嬉しいです!!これからもっと面白く出来るように頑張ります! (2020年4月18日 20時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読みはじめてから、どんどん話に引き込まれて、ここまで一気に読ませて頂きました。先が気になります!更新楽しみにお待ちしております。 (2020年4月18日 20時) (レス) id: 6b92244ddf (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - かほさん» 嬉しすぎます、、!これからもう少しだけ重くなる予感がするんですけどお楽しみにしていてください!笑 (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
ななせ(プロフ) - ふーみんさん» 全話読んでくださってありがとうございます!これからもお楽しみに!(^ ^) (2020年4月13日 22時) (レス) id: e113544416 (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 初めて読みましたが非常に面白いです!こういう重いの大好きです!(笑)これからも楽しみにしております〜〜 (2020年4月13日 17時) (レス) id: 43e673b672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななせ | 作成日時:2020年2月8日 19時